ルクラ村からベースキャンプに向かってキャラバンを行う道中、いつもタンボチェの龍さんに会いに行く。龍さんのお墓は地元の岡山、東京、そしてここヒマラヤのタンボチェ村の三カ所にある。タンボチェ村の寺院の裏にあるお墓からは天気がいいに時はエベレストが一望できる素敵な場所。今回はビールを差し入れ。一緒に飲みながら山の話をしました。そして今回も前回同様に龍さんの古い木製のピッケルで。
龍さん、また来ましたよ!
キャラバン開始5日目、先にベースキャンプ入りしていた小島クンがパンボチェ村まで下りてきてくれた。「野口さん、体調は大丈夫ですか」と心配してくれるのはいいが、
小島クンと合流しナガゾンピークへ
小島クンと合流してからディンボチェ村の裏山であるナガゾンピーク(5100M)の山頂手前まで高所順応の為に登り、また3年ぶりとなるイムジャ氷河湖に向かった。このイムジャ氷河湖は僕のブログやHPにも何度も紹介してきましたが、このイムジャ氷河湖は気候変動の影響によって周辺の氷河の融解により急激に拡大し決壊の危機に面していると多くの学者に指摘されている。
私もこの4~5年間、イムジャ氷河湖を含め決壊の危機が指摘されているヒマラヤの氷河湖に訪れ、「第1回アジア・太平洋水サミット」などでその対応策を訴えてきたが、残念ながら具体的なアクションに居たっていない。
イムジャ氷河湖にて(左・野口 右・小島)
イムジャ氷河湖が決壊すれば一時間以内に大洪水がルクラ村に到着すると専門家のシュミレーションの結果が出ているのだ。キャラバン中、何人もの村人から「もしイムジャが決壊したら日本みたいになるのだろうか」と言われた。東北のあの凄まじい津波の様子をテレビやラジオなどで村人たちは知っていたのだ。「いつ決壊してもおかしくない」と世界中の専門家に指摘され続けているイムジャ氷河湖。村人の不安は当然だ。この氷河湖の問題は標高が高い所にあるだけあって決壊防止対策が極めて難しい。でも方法はある。あとはコスト面と、そして何よりも国際的な関心があるかないか。まだまだ訴え続けないと。
イムジャ氷河湖を後にし4月21日、エベレスト・ベースキャンプ入り。3年ぶりのエベレスト・ベースキャンプ。先に入っていた平賀カメラマンと再会したが、開口一番「野口さん!ベースキャンプが綺麗になっていますよ!数日間、ゴミを探していましたがなかなか見つからないぐらいです。他の隊のシェルパ達が朝からゴミ拾いしているんですよ。もうビックリ!」と興奮しながら話していた。確かにゴミが見当たらない。僕らがエベレストの清掃活動を始めた11年前は、ゴミ拾いをしている僕らの姿を他の隊のシェルパ達は不思議そうに見つめていただけであったが、今ではみんながゴミ拾いしている。10年の時とはそういうことなんですね。
2001年、チョモランマ清掃時に回収した酸素ボンベをとかして作成した。
4月23日の、「エベレスト・富士山同時清掃活動」ですが、富士山側が土砂雨で清掃活動は中止となりましたが、恒例となっているエベレスト・富士山の中継は行い日本サイドの参加者と意見交換を行った。富士山清掃隊長の若村麻由美さんからの提案で、「雨で中止はあまりにも残念。今回集まってくださった方々(約100人)と年内にでも富士山清掃活動をしたい」とのこと。これは大賛成。なにしろ富士山清掃活動の為に大阪からも参加してくださった女性の方もいる。なんとか実現させたい。
「天使の誘惑」も僕の神様?
もう間もなくエベレスト・ベースキャンプ
ベースキャンプ全容
ベースキャンプに到着
4月22日、ベースキャンプにて安全祈願を行った。この日は隊員、シェルパ共々、みな真剣。これからの一ヶ月半、誰一人欠けることなく無事に活動を行える事を心から祈った。
全員が無事に生還出来ますように
チーム・ノグチの面々(平賀カメラマンは撮影のため、写っていません)
ベースキャンプにて安全祈願を行う
2011年4月23日 エベレスト・ベースキャンプにて 野口健