2020/02/06
産経新聞 直球&曲球「危機感がない日本の政・官・民」が掲載されました。
産経新聞 2019年2月7日掲載
「危機感がない日本の政・官・民」
新型コロナウイルスの感染が日に日に爆発的な広がりをみせている。
2003年にやはり中国で流行したSARSの際、「中国政府の隠蔽体質が対応を遅らせた」と大きく報じられた。
今回のコロナウイルスにおいても、「やはり中国は隠蔽していたのではないか」との不信感を多くの人が覚えただろう。
WHO(世界保健機関)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を待つことなく、
各国が先に素早い行動をみせた。北朝鮮は中国からのウイルス感染を水際で防ごうとワクチンが開発されるまで中国人の入国を禁止。
フィリピンでは武漢から到着した観光客約700人を強制的に送還、中国本土だけではなく香港やマカオからの入国も拒否。
豪州や米国、シンガポールなども、中国からの入国を拒否するなど迅速な水際対策がとられた。
その間、日本の国会では連日、野党による「桜を見る会」や「IR汚職事件」についての追及に多くの時間を費やされてきた。
それ自体を否定するものではないが、今はその時ではないだろう。
外務省の感染症危機情報のレベル引き上げへの判断の遅さなども危機感の欠如をあらわにした。
危機感の欠如で思い出したことがある。
一昨年の春、名古屋のホテルに滞在中、高熱と体の震えに襲われてインフルエンザを疑い、病院に向かおうとしたときのこと。
フロントに電話をし「インフルエンザかもしれないので他のお客さんと接しないように裏のエレベーターを使わせていただけないか」と。
しかし、「本人に意識がある限り使わせることはできない」。
耳を疑い「感染症かもしれない。仮に僕がSARSでも一般のエレベーターですか」に「そうです」を繰り返すばかり。
病院での検査の結果は敗血症。幸いに人に感染させるものではなかったが、それは結果論。
そこは多くの外国人も泊まる大きなホテル。
外国人旅行者4千万人を目指す日本は五輪を目前にテロ対策のみならず、あらゆる分野に関して、「最悪の事態」を想定し、不足している法整備を含め、リアルに備えなければならない。
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