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産経新聞「直球&曲球」

富士山

2021/12/16

産経新聞「直球&曲球」

産経新聞連載コラム「直球&曲球」。
今回は富士山の噴火について書きましたが、まだまだ書き足らず、次回もこちらのテーマ第二弾を書きたいと思います。
シンポジウムで複数の専門家からドキリとリアルな話しを沢山聞きましたが、そのような情報が世間にはまだ伝わりきれていないと実感。

2021年12月9日掲載産経新聞
コラム直球&曲球

「富士山噴火」へ備えを急げ
先日、富士山麓にて富士山の噴火をテーマにしたシンポジウムが開催された。これは画期的な試みだ。僕は富士山に関わり続けて約30年になるが、富士山の地元で噴火について語ることはタブーであったと感じていたからだ。以前、地元で「いずれ富士山は噴火する宿命にある」と発言したら、「別荘地の地価にも影響するので触れないでほしい」と強く抗議された。

富士山の噴火がクローズアップされれば地元にとって経済的な損失は免れないだろう。しかし、平成26年に多くの犠牲者を出した御嶽山の噴火によって状況は一変した。命からがら生還した方々が語った言葉に戦慄が走った。まるで上空から急降下してきた戦闘機に機銃掃射されているような恐怖であっただろう。十円玉ほどの噴石が頭蓋骨を貫通していたとも。

また、生還した女性の証言だが、噴石が体に当たり、岩陰でうずくまっているときにおなかの上に重たさを感じ「なんだろう」と目線を移すとちぎれた自身の片腕であった。まさに戦場である。この大惨事で、富士山の噴火とも向き合わなければならないという意識が地元で芽生えた。世界有数の火山列島である日本。専門家は「富士山は必ず噴火する」「いつ噴火するのかも分からない」と。

ひょっとしたら明日かもしれない。あらゆる対策を急ぐべきである。御嶽山のときには山小屋に駆け込んだ登山者の全てが助かった。その後、御嶽山の山小屋は噴石による破損を免れるために屋根をアラミドという防弾チョッキに使用される繊維で覆った。「水蒸気爆発」をした御嶽山と「溶岩噴火」をするとされている富士山とでは対策の違いも出てくるだろう。水蒸気爆発による噴石は基本的に熱くはないが、溶岩噴火となれば噴石は火の玉である。仮にアラミドで屋根を覆ったところで燃え尽くされてしまうだろうし、木造建築ならなおさらのこと。石やコンクリートによる建造物に建て替える必要もあるだろう。

登山者にはヘルメットの着用を強く呼びかけるべきだ。そして担当行政を含め、メディアも噴火時の安全確保について繰り返し伝え続けてほしい。
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