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2010年春ヒマラヤ , 地球温暖化 , 氷河湖・水環境 , 自然保全

バングラデシュ滞在記 その3 ~バングラデシュからの学び~

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2010/05/03

バングラデシュ滞在記 その3 ~バングラデシュからの学び~

ハシャリ村に向かう船に乗り込む前に我々のガイドの日本・バングラデシュ友好ツアーのアラム・シャヘ(Shahe Alam)さんが「野口さん、今年は農作物が大被害を受けているんです。雨が少ないのに突然、川の水が氾濫したのです。野口さんがやってこられたヒマラヤの雪が溶けて流れてきたのかもしれません」といって途中で車を止め水没した田畑を見学した。近くにいた農家のシャヒドュル・イスラムさん(46歳)が「例年よりも一月前に川が溢れた。まだモンスーン(雨季)は始まっていないというのに。これから稲穂を刈る時期です。その前に田畑が水の中に沈んでしまった。こんな事は今までなかった。農家は大きな被害でどうしていいか分からない」と悲壮感一杯の表情で伝えてきた。地元新聞もこの被害を大きく報じているとのこと。
水びだしになった水田の中
水びだしになった水田の中で稲刈りを行っていた
稲刈りの前に水害で被害を受けた
稲刈りの前に水害で被害を受けたシャヒドュル イスラムさん

雨季の前に、つまりさほど雨が降っていないにも関わらず河川の水位が突如上がり氾濫してしまった原因は?シャヒ・アラムさんの指摘するヒマラヤなどの上流から流れてくる水が原因だとすれば、まさしくあのツラギなどの氷河湖と繋がってくる。どうなのだろうか?これから様々な専門家が色々な見解を出してくるだろう。
田畑に川の水が流れ込んでいる
田畑に川の水が流れ込んでいる

ハシャリ村からダッカに戻ったのは19時30分。それからJICA(独立行政法人国際協力機構)戸田所長や青年協力隊員の方々とお食事を頂きながら意見交換を行った。2年前の調査の際もJICAの方々から情報を頂いていた。

ネパールもバングラデシュもそうですが、地元ではJICAの知名度を凄いものがある。例えば今回もバングラデシュに入国する際に「あなたは何故バングラデシュに来たのですか?」とイミグレーションで聞かれたのだが、観光でもないし、調査といってしまえば細かく聞かれたら面倒であったので「友達に会いにきた」と言ったら「日本人ですか?その人はこちらで何をしていますか?」と細かく聞かれ返事に困ってしまいとっさに「友達はJICAで務めています」と答えたら「それは素晴らしい。私たちバングラデシュの人はJICAに感謝している。尊敬しています。あなたは素晴らしい友達を持っている」と突然、ニコニコ顔になりポンとパスポートにハンコを押してくれた。

実際にハシャリ村やハティア島に訪れた際も村人から「JICAか」と聞かれたほど日本人イコールJICAなのだ。ガイドのアラム・シャヘさんも「バングラデシュ人が最も好きな外国人は日本人。JICAの活動も大きく影響していますよ」と話していた。対日感情が極めていいバングラデシュ。その陰には日々、JICAの職員や青年海外協力隊員の方々の並々ならぬ努力がある。私はネパールやアフリカ、中東で青年海外協力隊員の血の出るような努力を何度も目にしてきました。
JICAの方々と意見交換を行う
JICAの方々と意見交換を行う
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情熱がなければとてもじゃないが勤まらない仕事。父がイエメン大使をやっている時に大使館に青年海外協力隊員を招いては「あなた方抜きに日本の国際協力は成り立たない。あなたがたの活躍は我が国にとって誇りです」と現場で汗を流す隊員に対し心から敬意をはらっていた。

レンホウさんではないが、最近、このODAも一方的な削減の対象となっていますが、こうした日本の顔が見える援助に期待したい。

二泊三日のバングラデシュ滞在でしたが、いやはや、ヒマラヤの6000Mからやってくるとこのうだる様な暑さと湿度に体が参る。そして過酷な現実に肉体的というよりも精神的に堪える。

知るという事は同時に背負うことであり、なにも知らなければどんなに楽なことかと思うこともある。しかし、知ることによって何かが出来るのかもしれない。知るという事はとても大変な事だけれど、ただ同時に可能性も生まれる。

そして私は純粋にバングラデシュが好きです。あれだけ過酷な状況下においても人々が生き生きしている。必死に生きている。人のうねりを感じる。勢い、エネルギーを感じる。今、我々、日本社会が最も必要としている生命力がバングラデシュにはある。

短い滞在でしたが、充分に濃かった。やはり来てよかった。さて、再びネパールに戻り、そして帰国です。この遠征は非常にハードなスケジュールで動いていましたが、私からすれば日本での生活、つまり娑婆に戻る方がよほど過酷です。
また近々、バングラデシュに戻ってくるだろう
また近々、バングラデシュに戻ってくるだろう

次の長期遠征は8月のアフリカ。キリマンジャロ、ケニア山、ルエンゾリー峰といったアフリカ三大高山の氷河の調査を行う予定です。

では、その前にまずはネパールに戻ります。

2010年5月1日 ダッカ 最後の夜 野口健

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