ヒマラヤから帰国しいつも通りの生活に戻りました。移動の日々。今日はイベント、今日は取材日、今日は講演会、今日は打ち合わせ、今日は富士山清掃などなど(あっそれと狂犬病の予防注射は帰国してから既に2回打ちました。あと一回!)。
ヒマラヤ遠征中はそれこそ今日の講演会のテーマではありませんが、日々を「生きる」事が最大のテーマであり、その事だけに専念していればいい。(そうはいっても日本での出来事、やり残してきた事など様々な事をついつい考え込んでしまう事もありますが・・・)しかし、ヒマラヤでの生活は確かにハードですがシンプル。
それに比べ日本の生活は日々が違うテーマ。頭を切り替えるのが大変です。
5月13日は環境省と社団法人「ロハスクラブ」が共催する「ロハスデザイン大賞2010・新宿御苑展」にてソトコトさんアレンジのイベント(生物多様性を守るために、私たちができること)に出席し、シェフの三國清三さん、株式会社セディナの江幡真史代表取締役と会見を行った。この日、セディナの新しいカード「セディナカードAXU(アクシュ)」を発表。
このセディナカードAXUはゴールドカードで年会費の中から環境保護活動に寄付されるのが最大の特徴。また10月に会員さんを対象にしたエコツアーを屋久島で開催しますが、私もそのエコツアーに参加し、参加者のみなさんと屋久島の美しさと同時に世界遺産になり大勢の観光客が押し寄せる事によって環境破壊につながったもう一面と、そして自然保護と環境保護の両立について、エコツーリズムの在り方などを体験し一緒に考えたいと思います。
イベント後は東条英機元首相のお孫さんにあたる
東条由布子さんと遺骨収集活動についての意見交換を行った。東条さんはパラオにて遺骨収集活動を行ってきました。様々な嫌がらせや抵抗がある中、それでも彼女は「一体でも多くのご遺骨を日本に還すのだ」と活動を続けてこられた。
東条さんのお話をお聞きしながら、空援隊を退会した今、私に何が出来るのだろうか、また果たすべき役割とは何か、またオールジャパン構想とはどうあるべきか、じっくりと考えていました。
表面的な活動なら簡単なのかもしれないが、社会を変えていこうと、社会に入り込み新たな形を作ろうと思えば、様々な思惑とぶつかり、とたんに複雑になる。難しいものです。
環境問題も自然が相手ではなく人間社会が相手。故に時に複雑で厄介。一筋縄にはいかない。しかし、人間社会が相手ということは「どのような社会をみんなで築いていくのか」ということ。広げて考えてみればどのような社会、つまり国を作っていくのかということ。そのように考えると環境活動にもまた夢がある。
遺骨収集も同じ事です。国家のために戦い亡くなっていった方々に対して冷たい国は必ず滅びていく。これから先の日本のためにも遺骨収集はしっかりとやらなければならない。しばらく模索が続きますが、これも自らが選んだ道ですから生みの苦しみとして楽しんだほうがいい。
5月14日、都内にて富士通株式会社主催の「富士通フォーラム2010・環境特別セミナー」にて講演。
5月15日、愛媛県四国中央市にて、「国際ソロプチニストイースト愛媛20周年記念講演会」にて講演。
5月16日、姫路市にて姫路広陵ライオンズクラブの35周年記念講演会にて
「生きる」をテーマに講演。
驚いた事に講演会場に
戸井田とおる先生がわざわざいらして下さった。戸井田先生は姫路市が地元。遺骨収集の件では当時厚生省政務官であった戸井田先生に「遺骨収集は国家事業のはずです。それなのに国家の義務になっていない」と意見させて頂いたら
「野口さん、遺骨収集事業はあくまでも閣議決定でしかなく、法律のどこにも書かれていないのです。これが最大の問題です。野口さんに指摘されましてハッとその事に気がつきましたよ」
と、それから戸井田先生は遺骨収集を国家の義務にしようと議員立法を提出しようと必死になって調べてくださっていた。 その叩き台がようやく出来、これからという時に政権交代。そして戸井田先生も昨年の選挙で落選。
多くの議員さんがやりたがらないこと、それそこ票にもならないことを一生懸命される、本来あるべき国会議員の姿に私は何度も救われる思いでした。忘れもしないのは昨年3月に417体のご遺骨と帰国を果たした時にご遺骨を載せたカートを押しながら飛行場から出てきたら22時を過ぎていたにも関わらず戸井田先生がご遺骨のお迎えにいらしてくださっていたのだ。
「野口さん、本来ならば国を挙げてお迎えに上がらなければならないのですが・・・申し訳ございません」と、厚生省政務官としてまた国会議員として「申し訳ない」と発言された戸井田先生の言葉を私は忘れる事はないでしょう。その戸井田先生がいらしてくださり主催者の方がそれに気がつき、講演後の花束贈呈を戸井田先生にお願いされたようでサプライズ。戸井田先生から花束を頂きました。
講演を終え、戸井田先生の事務所にお伺いし、「遺骨収集をオールジャパンの活動にしていきたい」と私の考えをお伝えしたところ
「野口さん、そもそも遺骨収集はオールジャパンでやるべき活動でした。しかし、国がしかるべき予算をつけず、また明確に国家の義務とせず、民間団体に任せてしまったからこのような状況になってしまったのでしょう。関係している団体同士が対立していることも知っています。国がだらしないからいけない。しかし、野口さんのいうオールジャパンなくしては遺骨収集には限界があるでしょう。オールジャパン構想に私も協力しますよ!」
と嬉しい言葉であった。
戸井田先生の事務所にて
オールジャパーン構想について「今まで誰にも出来なかったことだ。そんなにうまくいくわけないだろう」といった厳しい意見も頂きました。しかし、こうして一緒になって立ち上がってくださる本当の仲間にも支えられています。活動を続けていれば時に弱気になることもありますが、今日は勇気を頂いた。
戸井田先生と バックに姫路城
明日は横浜で講演です。ヒマラヤで喉をやられ咳が止まらず講演中もガラガラ声でまた咳き込み、聞いている方々はさぞかし聞きづらく、また不快な思いをさせてしまっているだろうと、本当に申し訳ないと思いつつ、毎日しゃべり続けているので喉が治る暇がない。通常はヒマラヤから帰国すると一週間程度、断食道場に籠り一気に体調を整えるのですが・・・。今回はうっかりスケジュールの中に断食を入れ忘れてしまいました。
その影響か、ヒマラヤ帰りはいつも咳に苦しめられますが、今回は特に酷く、健康管理が出来ていないと言われればそれまでですが、まだ当分、ガラガラ声のゲホゲホ続くと思います。しばらくご迷惑をおかけします事、どうかお許しください。それでは おやすみなさい!
2010年5月16日 東京に戻る 野口健