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ヒマラヤの氷河「毎年470億トンが消滅」

氷河湖・水環境

2010/05/11

ヒマラヤの氷河「毎年470億トンが消滅」

ヒマラヤから帰国してから北海道大学のヒマラヤの氷河調査結果をサイトの中から(毎日新聞関係)から発見。ツラギ氷河湖の現場でも感じていた事ですが、現場では間違いなく氷河の融解が起きている。IPCCの2035年までに「ヒマラヤの氷河消失」は間違えであったようですが、それはそれとして、だからといって氷河が融解していないわけではない。ツラギ氷河湖に訪れた時のブログにも書きましたが、大切な事は調査を続ける事、そして注目し続ける事。

バングラディシュのハシャリ村も3回訪れた事によって過去の状況と比較できるわけです。その比較から確実に被害が拡大している事を、データや現場感覚で感じ取れる。

北海道大学の山田知充助教授が93年にヒマラヤの氷河湖(主にイムジャ氷河湖・ロルパ氷河湖)を調査し、氷河湖の拡大や決壊の要因、その可能性などを調べておられた。山田助教授が気候変動によるヒマラヤ氷河の融解、氷河湖の決壊の事実、危険性をいち早く世界に訴えてこられた。
山田助教授の研究は過去にも多岐にわたる。
 
研究はネパールヒマラヤ氷河調査-1988(1988)
   第12次日本南極観測隊越冬隊(1990)
   パタゴニア北氷陸学術調査(1984)
   ネパール氷河学術調査-1981/82(1981-1982)
   天山における氷河の気候に対する応答特性の研究(1984)

そして今回も北海道大学の日置教授がヒマラヤの氷河が毎年470億トン融解している事を発見。こうした北海道大学の継続的な氷河研究活動は貴重な情報です。地球からの合図をどれだけキャッチできるのか、絶えずアンテナを張っておく必要があるでしょう。
ツラギ氷河湖全容
ツラギ氷河湖全容

P1170033


以下がネット(毎日新聞)によって報道された記事の引用です。
 


◇北大チームが分析
 
03~09年にヒマラヤ山脈やその周辺で、
琵琶湖1・7個分に相当する山岳氷河の氷が毎年減少したことが、
日置(へき)幸介・北海道大教授(測地学)と大学院生の松尾功二さんの分析で分かった。
02年に打ち上げられた米国の人工衛星の軌道データを活用して算出した。
過去40年間の現地調査で推定された年間平均減少率の2倍に上るという。
ヒマラヤの山岳氷河はアジア南部の貴重な水源で、市民生活への影響が懸念される。
15日付のオランダの地球惑星科学誌に発表する。

氷河の面積は航空写真で分かるが、体積や重量の把握は難しい。
研究チームは氷河の増減が重力を変動させることに注目。 重力の影響を受ける衛星軌道の変化から、アジア中央部の氷河の重量の変化を算出し、 毎年470億トンの氷河が減少していることが分かった。 この量は海面を年0・13ミリ上昇させる効果がある。

国連環境計画によると、アジア中央部の山岳氷河の面積は約11万4800平方キロで、 米アラスカに次いで広い。年470億トンの減少は氷河の厚さが年平均約40センチ薄く なっていることを示す。巨大な氷床のある南極では今のところ、急激な気温上昇がなく、 当面の海面上昇を左右するのは山岳氷河になっている。

ヒマラヤの氷河を巡っては、国連の「気候変動に関する政府間パネル」が07年の報告書で、 「35年ごろまでに消失する」と記載したが、後に誤りを認める問題が起きている。

日置教授は「数十年で消滅することはないが、温暖化で融解が加速しているのではないか。

海面上昇に加え、乾期に下流のガンジス川などの流量が減り、農業に深刻な被害を与えると話す。


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