2010年10月7日、環境省の記者クラブにて、「センカクモグラを守る会」の設立発表記者会見が行われた。
会見には、同会の発起人である野口健、獣医学博士の山際大志郎、富山大学大学院理工学研究部准教授の横畑泰志が出席した。
左より 山際大志郎先生、野口、横畑泰志先生
会見には、テレビ、新聞、雑誌など多くのメディア関係者が詰めかけ、質疑応答も含め、約1時間30分に及んだ。
冒頭、野口健より「センカクモグラを守る会」設立の経緯および意義が説明された。
野口は、「約7年ほど前から、尖閣諸島にはセンカクモグラをはじめ多くの固有種がいるが、適正な保全がなされていないと聞いており、保全の必要性を感じていた」と述べた上で、「尖閣諸島の魚釣島は、野生化したヤギのために島の生態系に多大な影響が生じ、数多くの固有種の存続が危ぶまれているにもかかわらず、いわゆる領有権に関する問題から現状把握の調査すら行われていない。我が国は生物多様性条約の締約国だがこれでは、保全の義務を果たしていない。現在のように尖閣諸島に関する注目が集まっている今だからこそ、まずはこのような問題があるんだということを広く訴えていきたい」と語った。
獣医学博士であり前衆議院議員である山際大志郎は、「とかく領土問題の観点からばかり議論される現状に対して、忘れ去られた固有の生物の保全の必要性を広く世論に訴え、その上で、最終的には、政治が決断しなければならない」と述べ、主に政府に対するアプローチに関して自説を述べた。
横畑泰志准教授は、パワーポイントで作成した資料を用いつつ、尖閣諸島の魚釣島に関する生態系についての説明を行い、「センカクモグラは、この島にしかいない固有種です。通常のモグラより歯が少なく体長もやや小さい約13センチ。しかし、日本の民間団体が持ち込んだヤギが繁殖し、生態系が崩れ、固有種が危機にあると懸念されますが、現地調査がほとんどされておらず、実態がよく分かっていない。」と述べた。
会見終了に際して、野口は「「菅首相は『領土問題は存在しない』と仰られている。であるならば、現地調査はできるはず。まずは、今月に愛知県名古屋市にて開催されるCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)にて、情報発信を行い、年度内には沖縄県にてシンポジウムを開催し、魚釣島の生物多様性の価値と保全の緊急性を訴え、上陸調査やヤギの除去を行うことのできるように、政府へ要望していく」と述べました。
センカクモグラの模式標本
左1987年の魚釣島の航空写真、 右2006年の衛星画像 かなり岩肌が見えている。
センカクモグラの写真を持って
*以下、「センカクモグラを守る会」に関する野口のブログ投稿記事になります。
2002/10/12 | 目隠しネットを張られた「ふじみ湖」 |
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2002/07/15 | アフガニスタンへ向けて(後編) |