白馬で雪崩による遭難事故。「冬山登山が最も危ない」という見方をする人もいますが、僕は春山が怖い。今回のヒマラヤ登山もそうでしたが、積雪量が多く、また湿り気の多い時期は特に怖い。真冬と比較すると一見暖かく天気がいいと「気軽に雪山を楽しめる」と感じやすいが、むしろ厳冬期よりも春の方が雪崩のリスクが増える。
登山には様々な遭難(雪崩以外にも滑落や凍死)がありますが、雪崩が最も大量遭難に繋がりやすい。悪天候だと最初から警戒するものの、雪崩への警戒はついつい見落としやすい。空模様ばかりを気にするのではなく、足元から警戒したほうがいい。雪の状態と地形のバランスを敏感に感じながら登山しなければならないだけに春山には特に気を使う。
ヤルンリー登山もギリギリの状態だったと思います。故にランドゥン峰とテシラプッァ峠越えを今回は断念しました。実際にやってみたらなんなく登れ、また超えられたかもしれませんが、山では時に一つのミスがそのまま命取りになってしまう。逃げ足が速いのも大切なこと。生きてさえいれば今回ダメでもチャンスはまたあるわけで。
ゴールデンウィークで登山者が増えますが、足元をよ~く見つめてきてください。特に快晴無風の時に撤退を決断するのはかなり難しい判断ですが、「やめた!」も登山のうちです。
とっ、偉そうに呟いていますが、このヒマラヤ登山では僕自身、雪崩の恐怖を全身で感じてきただけについ余計なひと言でした。
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