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産経新聞連載「コロナ禍に畑の野菜を育ててみた」

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2021/09/30

産経新聞連載「コロナ禍に畑の野菜を育ててみた」

9月29日の産経新聞の連載コラムです。

2022年9月29日掲載
「コロナ禍に畑で野菜を育ててみた」
新型コロナの影響で丸2年間、ヒマラヤ遠征から離れている。国内の活動も、もっぱらリモートでの講演や取材。特に1年目は初めての経験であり、日本社会全体がズシリと重たい空気に包まれ、不安やいらだちからなのか、社会が閉塞(へいそく)感に包まれた。そして、ステイホーム生活...。異変を感じたのは昨年の秋ぐらいだろうか。寝付きが悪くなり、朝起きてもボーとしたまま、やる気が起こらない。食欲も湧いてこなくなった。

そして、2年目。1年目と変化をつけなければ、と始めたのが畑。いずれ事務所でも建てようと自宅の隣に寝かせてあった土地を畑にしたのだ。

まずはカチカチになった土を鍬(くわ)で耕すところからスタート。20年近く放置された地面なので地下には根が至る所にはびこっていた。この根を取り出す作業だけで鍬を握る手のひらは何度も皮がむけた。土壌改良の方法を一から調べ、石灰、木酢液、腐葉土などを使って段階的に加え、栄養分を与えるために牛糞(ぎゅうふん)を混ぜ込んだり。排除したはずの雑草もいつの間にかまた生えてくる。

苗植えが始まれば、今度は病害虫対策、野菜によっては先端の摘心から脇芽取りなど次から次へと。いきなり13種類もの野菜を植えてしまったこともあり、育て方もそれぞれ異なり大混乱。葉っぱが白くなったりすると病気ではないかとオロオロ。早朝から始まった作業は気がつけば夕方になっていたほど、畑作業は実に忙しい! 毎晩、プロの農家さんのYouTubeを見ながらの勉強。想像していたよりも大変だと思いつつ、しかし、気がついたらものすごく楽しんでいる自分がいた。

スーパーの野菜売り場を通るときも足を止めては野菜を眺め、これほどまでに美しい野菜を作れるプロの農家さんの技術や野菜への情熱に感動していた。そして、畑を始めて最も強く感じたのは土を触ることの大切さ。特にフカフカになった土の中に手を入れると包み込まれるかのような安らぎを感じたり、土の持つエネルギーを体で感じ、生命力へと直結していくような感覚。畑で野菜を育てながら同時に実は僕が畑から育てられているのだと感じていた。

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