キャンプ2にて



 シェルパ16名と共にキャンプ2の清掃活動行なう。遺体を埋葬した際に発見したキャンプ地の裏側に散乱する日本隊のゴミ。強風により雪が吹き飛び隠れていたはずのゴミが露出していた。ラーメンなどやそれ以外の袋に記載された賞味期限や製造年月日からおおよそどの時代の登山隊のものか判明する。その散乱する辺りの雪を掘れば、掘るだけ出てくるゴミの山。そして潰れたテントの中から以前にチベット側で回収したある日本隊と同じスポンサーのワッペンがでてきた。年代もその隊とピタリと一致した。88年の日本・中国・ネパール三国合同登山隊だ。つくづく、橋本龍太郎氏とは縁があるものです。しかし、回収していても嫌な気持ちにはならない。80年代の環境に対する意識の程度を象徴しており、もし自分がその登山隊のメンバーであれば間違いなくゴミを捨ててきただろう。今の感覚で過去の登山隊の行為を受け取ってはならない。大切なのは過去の経緯から学び次につなげることだ。よく「野口健は過去の日本隊にけちをつけるために清掃登山をやっている」「我々を脅すつもりか」などといった山岳関係者からのクレームや意見が寄せられたが、それは違う。橋本龍太郎氏も「我々の頃はそれらがゴミになるとは思いもしなかった。しかし、我々が捨てたゴミが環境破壊になったことは事実。その事を素直に受け止めながらこれからの活動に反映させなければいけない」と僕に語ったがその言葉が全てを物語っている。なにも日本隊の批判のためにこの世界一過酷な清掃活動を行なっているわけではない。ただし、2000年のチョモランマのように近年の登山隊によるゴミの放置には疑問を抱く。その辺りがなかなか理解されず、時に容赦ない批判にさらされるが、これは僕の伝え方が足りないのだろうし、僕自身 つい感情的な発言を繰り返したことも事実。反省しなければならない。そしてこの活動を続けていればいつか理解されることだろうと、信じながらの4年間でもあった。清掃登山は多くのことを僕に教えてくれた。

 

 

 

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