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2008年エベレスト清掃登山 , ヒマラヤ

エベレスト清掃活動 ダワ・スティーブンとの絆

2008年エベレスト清掃登山 , ヒマラヤ

2008/04/22

エベレスト清掃活動 ダワ・スティーブンとの絆

「エベレスト清掃活動 ダワ・スティーブンとの絆」
(ゴラクシップ~エベレストBC~ディンボチェ村)
(写真はクリックしたら大きくなります)

 4月20日、5年ぶりにエベレストのベースキャンプ入り(ネパール側)を果たす。ベースキャンプの入り口付近でネパールの警察と軍の関係者が警備を行っていたが、警察の方は我々がいままで行ってきたエベレスト清掃活動の事をよく知っていて軍の関係者に「ノグチはいままでも何度もエベレストを清掃してきた。ネパールのために一生懸命やってくれている」などと説明してくれた。その警察の言葉もあって「ビデオ撮影も中国隊が登頂するまでは原則禁止だが清掃活動に関しては認める」との事であった。有難い配慮であったが、そもそもエベレストのベースキャンプに警察や軍が監視している事が異常であり、また彼らも政府の決定によりベースキャンプに派遣されてきたわけで気の毒な任務であるが、私にはどうしてもこの聖地に対し中国の傲慢さが招いた異常事態に納得ができないでいる。その警察の方が私の目を見ながら視線で「申し訳ない」と伝えてきた。その表情はいかにも辛そうだった。そう、みな苦しんでいるのだ。

 先にベースキャンプ入りしていたネパール山岳協会会長のアンツェリンさんの長男のダワ・スティーブン(24歳)と合流。彼がICIMOD(国際総合山岳開発センター)に呼びかけエベレストの清掃活動や氷河の調査を行う「エコ・エクスペディション」を企画。ベースキャンプに氷河の融解による氷河湖の拡大や決壊などの写真、パネルを展示しているのも彼のアイディアだ。彼の父、アンツェリンさんとは11年間の付き合い。ネパールでの私の最大の理解者でありパートナーだ。私がここまでエベレストでの清掃活動を続けてこられたのもアンツェリンさんのおかげだ。ヒマラヤからカトマンズに戻るとよく自宅に招いてくださった。当時まだ子供だったスティーブンによくエベレストの話をした記憶がある。そしてエベレストの清掃活動が始まり、今度は冒険談からごみの話を彼によくしていた。そしてその彼が大人になり「ケン、今度は私の番だ。これからは私がエベレストのごみ拾いをやる」と今年からエベレストの清掃活動を始めた。

ベースキャンプ内、氷河の融解に関して展示してある
ベースキャンプ内にて氷河の融解について展示してある

 テレビの取材班がスティーブンにインタビューしていたが彼の「ケンは私の先生であり、兄弟だ。子供の頃からケンにエベレストのごみの話を聞いていた。だから私は清掃活動を始めた。ケンがネパールのためにアクションを起こしている。本当に感謝している。次は私たちがアクションを起こす番だ」との言葉に思わず目頭が熱くなった。幸いなことにサングラスをかけていたので悟られずに済んだが。彼が私のことを「兄」と呼んだ。いつの間にか私の弟は立派に育ち私の起こしたアクションを受け継ごうとしていた。その弟と初めて一緒にエベレストの清掃活動を行った。人の生涯などいつ尽き果てるか分かりやしないが、こうして受け継がれていけば永遠ではないかと、そんな事を感じながら一緒にごみを拾っていた。スティーブンの存在が私を少し自由にしてくれた。

ダワ・スティブンとゴミを運ぶ
ダワ・スティーブンとごみを運ぶ

BC2

エベレストベースキャンプ・後ろはアイスフォール
エベレストのベースキャンプ・後ろはアイスフォール

ベースキャンプで3~4時間ほど活動を行いディンボチェ村へと下った。

BCでの清掃活動終了
BCでの清掃活動を終えディンボチェ村に着いたのは20時を過ぎていた。12時間行動。さすがに疲労困憊

ベースキャンプ付近にて
ベースキャンプ付近にて モレーンを歩くが砂利の下には氷河があるのがよくわかる

 帰り際、何度もベースキャンプを振り返っていた。氷河湖の調査のためにエベレストを離れなければならない。これも私にとっては今やらなければならないことだ。しかし、スティーブンや他の多くの仲間達(シェルパ)がエベレストで命を賭けて闘っているのに背を向けて下るのはなんとも苦痛であった。心の中で「俺は再びエベレストに戻ってくる」と叫んでいた。

2008年4月20日 ディンボチェ村にて 野口健

「エベレスト・ベースキャンプ清掃結果」
清掃日時 2008年4月20日 11時~13時30分まで
清掃場所 エベレスト・ベースキャンプ(ネパール・クンブ地方)
清掃参加人数 15人
主催 (野口健事務所・ICIMOD(国際総合山岳開発センター・エイシアントレッキング) 
空き缶・ガスボンベ・衣服・テントの残骸・墜落したヘリの残骸(2003年5月にベースキャンプにヘリが墜落した)など約250キロを回収


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