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2009/10/05

釧路湿原と再会の旅

 小諸市から帰京した翌日は風邪で一日ダウン。9月2日、教育委員会主催の講演会で群馬県へ。主催関係者の中に親戚が含まれておりその関係で講演をしましたが、僕の祖父は群馬県太田市出身。したがって群馬県には親戚が沢山います。久々の親戚との再会に控室では祖父の話で盛り上がった。「健ちゃんのやっている遺骨収集で一番喜んでいるのはお爺さんだよ」の言葉は嬉しかった。
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僕はじいちゃん子でじいちゃんと一緒にいるのが大好きだった。軍人であったじいちゃんから戦争の話を聞きながら育ったようなもので、遺骨収集を始めたのもじいちゃんの影響からです。97年、98年とエベレスト登頂ならず、入院中のじいちゃんに「またダメだったよ。じいちゃん、ごめんね」と、「ケンは大丈夫。必ず登れる。自分を信じることだ。じいちゃんは健の事を信じているぞ」と微かな声を絞り出すように話してくれた。その直後に亡くなり、そしてエベレスト登頂はその半年後。もう少しだったのに、誰よりも僕のエベレスト登頂を信じ、楽しみにしていたのに、なんとも悔しかった。親戚の方とじいちゃんの話をしていたらとっても会いたくなった。近々、富士霊園に眠るじいちゃんに会いに行こうと、報告することが山ほどあり何からお伝えしようかとそんな事を考えながら、夕方に東京に戻り、羽田から北海道釧路行きの便に乗り込んだ。
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 アテンダントさんが「いつも野口様のブログを拝見しております」と声をかけてくださった。「ですから今日のフライトに乗られるのも分かっておりました。いつも応援しています」と、そういえば前日のブログで釧路に行くと書いたっけ。それにしてもそんなさり気ない会話っていいものです。その一言だけでも心温まった。

 そして飛行場では再び懐かしい再会あり。小学生の時にエジプトにあるカイロ日本人学校に通っていたが、そのカイロ日本字学校時代の先生が迎に来てくださったのだ。もうかれこれ二十数年ぶり。大倉光昭先生は今現在、厚岸町立真龍小学校校長先生。今回は第56回日本PTA北海道ブロック研究大会釧路大会での講演会。

 車の中、エジプト時代の話でまたまた盛り上がり「ケン、お前は大変だったんだぞ。空気銃事件は忘れないよ。よく喧嘩して殴っていたな。学校一の問題児だったよ。でもしゃべり方は今となにも変わっていないよな~。お前は昔から負けん気が強かった。それにジッとしていなかった。チャカチャカしていたな」と、よく細かく当時の出来事を覚えてくださっているのに驚いた。

 実に恥ずかしかったのはこれは本人も覚えていないのだが、小学校5年生の時、下痢をしていたらしく学校でウンコを漏らしたとのこと。「ウンコ漏らしのケン」と呼ばれていたらしく、あれは可哀そうだったと、しかし、必至に思いだそうとしても思い出せない。小学生5年でのウンコ漏らしは死ぬほど恥ずかしかったに違いない。おそらくショックのあまり記憶ボタンを押し頭の中の記憶から永久追放してしまったのだろう。群馬では親戚、北海道では小学生時代の先生と再会、最近、「再会」がなにより嬉しくまた大切に感じる。自身のルーツをたどりたくなるお年頃なのかもしれない。

 9月3日、大倉先生や関係者と釧路湿原を歩く。日本一広い湿原。壮大な空間に広い空。澄んだ空気になんとも癒される。登山者も我々ぐらいでとっても静か。木道に座って目をつぶるとどこからか大地を感じる。自然の力は不思議なもので理屈では到底説明しようもない感覚に包まれるものだ。
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 午後は地元の北海道標茶高校に訪れた。この高校は日本で最も大きな敷地。道立とは思えないレンガ造りの校舎に一面が芝生に奥は牧場と森。生徒達が「湿地再生プロジェクト」を立ち上げ、年々小さくなっていく釧路湿原の保護のための研究を重ねている。森の中にビオトープを作り、牛の糞尿などの汚水を流しこみ、どのように浄化していくのか、試行錯誤、今年で2年目となる実験、フィールドでの研修を行っていた。その彼から取り組みを彼らから発表して頂いたが、日々現場で格闘しているだけに言葉に説得力、とっ言うか、熱意のようなものを確かに感じ取りました。
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北海道標茶高等学校にて、湿地再生プロジェクトの説明を受ける

 そして何よりも実に生き生きとしている。年内には地元の小学生を対象にこのフィールドで環境教育を行うとのこと。これは大きな意味がある。大人から子供に伝えるよりも、高校生である彼らは子供たちから見たらお姉ちゃん、お兄ちゃんである。つまりグッと身近に感じる存在であり、そんな彼らの言葉のほうが、大きな抵抗もなくスッと子ども達の心に届くに違いない。それと日頃、学ぶ側の高校生が今度は小学生に伝える側になる。人に伝えるという作業はなんとなく分かっているだけでは無理。頭の中でちゃんと情報を整理し確実に理解したうえで初めて人に伝える事ができる。つまり日頃の活動でなんとなく分かっているつもりになっているかもしれないが、子ども達に伝えるということが、1つのきっかけとなって物事をしっかりと把握する。そして難しい事をいかに子ども達相手に分かりやすく伝える事ができるのか、この訓練は実に大切です。これは大人とてなかなか出来ない。

 よく環境問題などのシンポジウムに参加しますが、どうして日本の専門家の先生方はあえて難しく説明したくなるのかと思う。簡単なことでさえ、あえて難しく話そうとする。専門家らしくてもっともらしいと感じているのかもしれないが、そんな事は評価されないし、自己満足になってしまう。何故ならばシンポジウムの会場の大半の方々が寝に入るからだ。

 そんな事よりも難しい事をいかにシンプルに簡単に伝える事ができるのか、そっちの方が遥かに高度であるし、最も大切な「伝える」事に繋がる。だから彼らが小学生相手に環境教育する事はとても素晴らしい。私には彼らの取り組みに大きな可能性を感じています。

 高校を後に夕方からは釧路川でカヌー体験。エンジン音のないカヌーはとても優雅。川岸の動物の鳴き声がよく聞こえ、特に鹿が多くカヌーが近づくと「キョー」と声を上げこちらをじーと眺めている。白鳥や鷲も。
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 そして見事な夕焼け。私は知らなかったが釧路は三大夕陽?夕焼け?と言われているようで、カヌーを漕ぎながらこの美しい風景をなんとか撮影しようと試みたが、漕ぎながらの撮影は難しいね。
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世界三大夕日の一つといわれる釧路の夕日

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 そして今回の釧路行きには娘の絵子さんを同行させた。なにしろなかなか家に帰る事も出来ず父親らしいことなど出来ないでいるので、せめて現場の仕事の時にはご迷惑をおかけしない程度に連れて歩こうと、先週の富士山清掃活動にも参加させた。現場に連れて行くことしか私には出来ないが、ただ色々な世界を理屈抜きになんとなく肌で感じ取ってもらえばそれでいい。理屈は後から追い付いてくるもの。そして何よりも自然の美しさやロマンを今のうちからしっかりと味わってほしい。

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 4日、無事に講演を終え、先ほど東京に戻ってきました。明日は(5日)母校、亜細亜大学で学生相手の講義。これは毎年、年に一回行っていて今年で5年目。母校となると思いれも違ってくるもの。特に亜細亜大の学生は質問が多くて嬉しいね。授業の時間内では収まらず授業後、約30分ほど質疑応答の時間が別の教室に用意されるほど熱心な学生が多い。

 明後日は私が客員教授を務める浦安市にある了徳寺大学にて講義。同大学のボランティアサークルの顧問もやっていますが、そのサースクの学生2名も先週の富士山清掃活動に参加してくれた。彼らも現場で何かをやりたくてうずうずしているのだ。

特に千葉では環境大使に就任してから清掃活動を行ったり、また近々、森田知事と不法投棄の現場の視察が予定されていますが、これらの活動に私の学生達を参加させたい。明後日の講義の前に彼らに何ができるのか、また何をやりたいのか、話し合ってみようと思う。

さて、明日、明後日とどのような学生とのやり取りが行われるのか、真剣に心して接してきたい。

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