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2012年マナスル・ムスタン登山 , マナスル基金

マナスル学校に到着~ネパール社会のA面とB面~

2012年マナスル・ムスタン登山 , マナスル基金

2012/04/18

マナスル学校に到着~ネパール社会のA面とB面~

4月13日、ナムルン村からサマ村へ向かって歩いていたら前方から見覚えのある二人組が馬を二頭引っ張りながらこちらにやってくるじゃないですか!なんとなんと、サマ村の村人がはるばるナムルン村近くまで迎えに来てくれたのだ。しかも白馬と。約一週間歩きっぱなしだったのでこの馬での迎えには正直喜んでしまった。ヤッホー!ラッキー!

ナムルン村からは馬でサマ村へ。まるで王様気分ってやつです。また小学校~高校時代まで乗馬を習っていただけに馬乗りは好き。崖の真横を通るので自由に乗馬はさせてもらえなかったが、それでも久々の乗馬にテンションマックス!

_MG_4449.jpgサマ村の入り口

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そして更なる感動はサマ村の学校に到着したとき。寒い中、生徒たちが列を作り待っていてくれたのだ。そして首にカタ―をかけてくらた。カタ―はラマ教(チベット仏教)の習慣で出合や別れの時などに白い布を首にかける。生徒一人一人からカタ―を頂きながら「ナマステ」と声を掛け合った。この学校は幼稚園児から小学6年生までの86人。

IMG_6602.jpg出迎えてくれた子どもたち

2006年に初めてマナスル峰に挑戦した際にサマ村の村人との交流の中からサマ村に学校を建てることにした。あれから本当に色々ありましたが、でもやっと完成した。様々な出来事を思い出しながら完成した校舎や、楽しそうな生徒たちを眺めていたら込み上げてくるものがあった。村人との協議から始まり、工事まで実に二転三転し、道のりは決して順調ではなかったが、でもやってよかった。とっ、同時にまだまだやらなければならないことも沢山あるだろうと、これで満足してしまわないようにと自身に言い聞かせていた。

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第一ステップは完成したので次は第二ステップへ。教室、寮、職員室などは完成したが、食堂はこれから。今は教室で食事をとっている状態なので食堂を建てるのが急務。その次は、これには前からズッと拘っていますが、図書館。子どもたちにとって読書は世界観を広げる。特にネパールの山間部の子どもたちは本を読む習慣が少ない。それだけに学校に是が非でも図書室を作りたい。食堂が建ったら真っ先に図書室を作ろう。

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「雪道の中、ランドセルを背負い下校」.jpg雪道の中、ランドセルを背負い下校

今回のサマ村滞在中は学校の校庭にテント泊。24時間一緒に過ごしてみて初めて気が付く事もあるだろうと。寮には秋田県立大学の学生たちによって設置されたソーラシステムがあるが教室はまだラインが繋がっていないため教室内は決して明るくない。それでも嬉しそうに勉強し、また歌っている姿にこちらまでもが笑顔に。

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僕のテントに可愛い来客者が」.jpg僕のテントに可愛い来客者が

4月15日、サマ村の婦人会(今年になって設立)と子どもたちとサマ村清掃活動を行った。当初は14日を予定していたが大雪の為に中止。15日になったがそれでもやはり雪降り。先生方とどうしようかと話し合いをしたら「この雪なら大丈夫。村の子どもは強いから」と。日本での清掃キャンペーンならば中止になるだろう。サマ村での清掃活動中に気が付いたのが以前とは比べものにはならないくらい綺麗になっている。聞けば2006年に村人を動員し清掃活動を行いましたが、あれから村人が定期的に清掃活動を継続してくれていたのだ。しかも、今年からスタートしたサマ村婦人会が清掃活動を行いながら村人への啓蒙活動も行っていたのだ。

2006年から始まり、ここまで来たのだと、そう感じられる瞬間が活動をやっていて一番嬉しく、また救われる瞬間でもある。

IMG_6914.jpgサマ村の婦人会の人たちと

IMG_7060.jpg雪の中での清掃活動

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IMG_7154.jpg清掃活動も慣れたものです

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そしてまたなんとも嬉しく頼もしかったのが4年生の生徒たちに「将来の夢はなに?」と質問してみた。2006年に同じ質問を子どもたちにしたら「夢」の意味が伝わらなかった。通訳していたシェルパが「ケン、この子どもたちには「夢」という考え方が分からない。何故なら、この村以外の世界を知らないからね。将来なにになりたいという考え方は表の世界を知っている人の考え方だよ」と言われハッとさせられた。

確かに、例えば僕が小学生のころ、勉強は全くしなかったくせに絵本と世界地図は大好きだった。地球儀を回しながらワクワクしていたっけ。「ドリトル先生の大航海」だったかな、あの本は特に大好きで教科書に挟んでまで読んでいた。夢を抱くって事はきっと、そういう事の積み重ねから生まれてくるのかもしれない。

サマ村に学校を建てようと思ったのもこの時のやり取りがきっかけ。そして同じ質問をぶつけてみたら、二人の男の子が手を挙げて「パイロットになりたい」「お医者さんになりたい」と。「えっ!」と驚き「何で」と聞いたら「パイロットになって病気の人を街に連れて行きたい」と。そうしてもう一人も「お医者さんになって、村で病気で困っている人を助けたい」と。どちらもが「困っている人を助けたい」だった。

そして子どもたちに「サマ村の事は好きですか?」と質問したら皆が「大好き!」と答え「では、みんなの大好きなサマ村のために、みんなには何が出来るの?」と再度質問。「ゴミを拾ってきれいにしたい」「お花を植える」など幾つかの意見がでた。

そこで僕の次のプランでもあるサマ村でも森林プロジェクトについてどう思うか聞いてみたら「一緒に森をつくりたい」と言うので「では、苗木とかを育てるのをやってくれる?」と聞いてきたら「もちろん」とのこと。どこまで活動を広げていけるか未知数ですが、でも2006年の頃に学校を建てるのもかなりハードルが高いとどこかで半信半疑の部分もあったが、ここまでこられたのだから諦めなければ出来るはず。このサマ村の学校から子どもたちと一緒になってアクションを通じてこの地域の大人たちに伝えていきたい。やれないことはない。

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ただ、学校で共同生活している内にとても残念な現実も。それは4人の子どもたちの事。この4人は兄弟で村の子どもたちとはカーストが違う。「カミ」と呼ばれるカーストで主に食器や金物を作る民族。ネパールはカースト社会。カーストによって職業も別れていたりする。かつての日本もそうであったように。そのカミと呼ばれるカーストはネパール社会においては低階級層とされている。カーストが異なれば時に一緒に食事をすることさえ難しい。カトマンズのような都会ならまだしもサマ村みたいな地方になればなるほど閉鎖的。

このカミ族の4人の子どもたちは教室も分けられ、食事も別。日本人の我々には驚かされるがそれがネパール社会の一面でもある。先生方に「村社会はどうしようもないとして、せめて学校だけはカーストの壁を外せないものか」と聞いてみたものの「そんな事をしたら他の子どもたちの親が学校に来て子どもたちをみんな連れて帰ってしまう」とのこと。

カーストの問題は我々外国人が口を出すのはとても難しい。極めてデリケートでありながら、また彼らの文化でもあり。外国人の私たちが自分たちの価値観を彼らに押し付けることはあってはならないわけで。しかし、残念な現実にどうしたものかと、すぐに答えは出ない難題を抱えてしまった。

先生方には「4人の事をくれぐれもよろしく頼みます。カーストの問題を僕らがとやかく言うつもりはないけれど、ただあの子たちも、同じ学校の子どもたちであることを忘れてはいけない。せめて学校の中ではあの4人の子どもたちのフォローをしてほしい」と伝えた。先生方も理解しているものの、やはりこのサマ村の社会との付き合いの中で学校が完成しただけに学校だけの問題ではなく、またネパール社会全体が抱えている難題の1つ。

他の子どもたちが校庭で輪になって「ワイワイ」と食事をしているのに、その輪に加わる事なく、校庭の端っこの方で4人が寂しげに座り込み静かに食事をしている姿になんとも心が痛んだ。もし学校にテントを張らず共同生活を行っていなければ気がつかなかっただろう。ネパール社会のA面とB面だ。

その日の夜、村を挙げて歓迎会を開いてくださった。サマ村のヘッドラマのジグメが僕の事を村人に紹介しながらこう言った。「ケンはサマ村の子ども達のお父さんだ。みんなケンに感謝している。私たちはいつもケンにはお願いばかりしているので、感謝の印として今度はケンから私たちに何かリクエストしてほしい」と。カーストの事はとやかく言うつもりはなかったけれど、「リクエストがあれば」との事だったので正直に彼らに伝えることにした。

「4人の子どもたちが一緒に授業を受けられない事、また一緒に食事ができない事はとてもさみしい事。ネパールでも少しずつカーストの差別をやめるようになっている。しかし、この村は変わっていない。このマナスルの学校もみんながハッピーになってこそ、もっともっといい学校になる。この学校の子どもたちはみんな家族だ。村の男たち(父親)は考え方が固いのかもしれないけれど、女性は違うはず。サマ村の婦人会でぜひこの問題につてみんなで考えてほしい。あの4人が一緒に授業に参加できるようになれば、私もまだまだ皆と一緒に学校やサマ村のために頑張る。これは約束してほしい」と。

この僕のリクエストにみな驚いたのか一瞬シーンと静まり返ったが、しかし、次の瞬間に何人かの女性が拍手をしてくれた。全てではないにしろ一部の人には伝わったようだ。長年の文化、習慣を一気に変えるのは難しい。しかし、守るべき文化もあれば、変えていくべき習慣もある。出過ぎた真似をしかのかもしれないが、しかし外部の人間だからこそ提案できる事があるのかもしれない。

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さて、明日からはこのサマ村を離れ再びキャラバンを開始。アルガータからずっと悪かった天気もサマ村最終日になってようやく晴れた。久々に見上げた青空。ここでもタンポポは笑ってくれるかな。

_MG_4625.jpgみんなでSAMAの人文字

2012年4月16日 サマ村にて 野口健


PS 4月14日に予定されていたサマ村と富士山同時清掃キャンペーンですが、サマ村サイドは雪の影響で1日延期となった。そして富士山サイドも雨天。しかし、日本サイドは雨天にも関わらず清掃活動は決行されました。寒かったはず。日本の参加者の皆さん、そして若村麻由美隊長、本当にありがとうございました。感謝です。そしてお疲れ様でした。

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