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もう一つのアフリカ Ⅱ~エネルギー対策~

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2012/08/27

もう一つのアフリカ Ⅱ~エネルギー対策~

 「オルカリア地熱発電所見学」

8月23日はオルカリア地熱発電所を見学。ケニアは慢性的な電力不足。ケニアは発電容量のおよそ70パーセントを水力発電に依存していますが、しかし地域によっては深刻な干ばつが続き水量が不安定になっているとのこと。また火力発電は海外から燃料を調達しなければならず、これ以上増やすことは容易ではない。そこで今、ケニアで最も注目されているのが地熱発電だ。

特に「地球の割れ目」である大地溝帯(グレートリフトバレー)は地殻変動によって大地が裂けて谷になった経緯があり、この一帯は地下マントルの上昇流があり地熱温度が高く地熱発電に適しているとのこと。因みにグレートリフトバレーは紅海からエチオピア、ケニア、タンザニア、モザンビークまでの7000kmに及ぶとも言われている。

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気候変動の影響で干ばつや洪水など深刻な被害を受けているケニア。2009年、ケニア政府は「国家気候変動対策戦略」の策定を行い、気候変動対策として再生可能エネルギー活用、植林を中心とした緩和策、保健衛生等における適応策を打ち出した。特に700万キロワット規模の地熱資源があるとされている東部アフリカ地域。地熱発電の開発は気候変動対策戦略の中心的な役割として期待されている。

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このオルカリア地熱発電所は日本政府がJICAを通じ円借款などで支援をしている。今現在稼働している1号発電所と2号発電所では三菱重工のタービンが稼働している。合計で15万キロワット。日本の地熱発電技術は世界一。世界中の地熱発電プラントの心臓部ともいえるタービンの約7割が日本のメーカーによって製造されている(富士電機、東芝、三菱重工)。今稼働している1号発電所(4万5000キロワット)、2号発電所(10万5000キロワット)ですが、ここで新たなプロジェクトが始まろうとしている。1号発電所の拡張と4号発電所の新設。建設を受注したのは豊田通商株式会社と韓国企業。タービンや発電機はこれまた日本のメーカーである東芝が担当するとのこと。発電総量は14万キロワットを計画している。因みに、これはサブ・サハラ・アフリカ初の気候変動対策円借款を通じた支援です。

ケニア政府は現在の地熱発電量16万5000キロワットから2030年までに467万9000キロワットまで拡大する計画。これが成功すれば水力発電、火力発電を抜き、ケニアでは地熱発電がトップになる。

また我々がオルカリア地熱発電所に訪れた時に案内してくださったケニア電力公社の担当者は「ここはアフリカ唯一の地熱発電所です。最近、近隣諸国の政府関係者、電力会社からの視察が相次いでいます」と誇らしげに話した。

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グレートリフトバレーはケニアのみならずエチオピアやタンザニアなどにも伸びているだけに、地熱資源はケニアに限らずケニア周辺諸国にもある。ケニアでの地熱発電の更なる成功が周辺諸国に広がる可能性があるだけに、今後、日本政府は気候変動対策に取り組む開発途上国に対し「経済成長」と「気候変動対策」の両立を図る支援に力を入れるとのことです。

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日本の姿、そして日本の技術がアフリカで大きな貢献をしていますが、その技術が同じように電力不足に陥っている日本にも普及する可能性はある。日本の地熱資源量はアメリカ・インドネシアに次いで世界第3位。原発事故によって日本のエネルギー事情も大きく変化してきた。全ての原発を廃止することは非現実的であったとしても、今まで原発に頼ってきた部分を可能な限り他のエネルギーに転化しなければならないだろうし、またそうするべきだ。

あの原発事故を一つのきっかけにエネルギーのベストミックスを考え実行する時期がきているのではないだろうか。また一つのチャンスにするべきだとも思う。

「エネルギー政策と温暖化対策の問題を一緒にしてはならない」との意見もありますが、原子力発電に頼ってきた分をそのまま火力発電に移行していくのはどうなのか。全国で原子力発電所の大半が停止し、不足しているエネルギーを補足しようと火力発電による発電量が増えましたが、その影響で今年の6月までの一年間で前年に比べ二酸化炭素の排出量が17%も増え4億3000万トン余りになったとのこと。日本は世界に対し温暖化対策を強く訴えてきた国でもある。

また、火力発電が日本のエネルギーの中心となれば、日本独自のエネルギーの大半を失う事にもなる。それは安全保障上、何としても避けなければならない。資源が乏しかった故に突入してしまったあの大戦の教訓を忘れてはならない。

そこで注目されているのが地熱発電。火山大国日本。地熱資源は原発20基相当分あるとも指摘されている。そして同時に世界一の地熱発電技術を持っている日本。今後に期待したい。

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