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2020年新型コロナウイルス

産経新聞 直球&曲球「閉塞感」にのみ込まれるな

2020年新型コロナウイルス

2020/03/12

産経新聞 直球&曲球「閉塞感」にのみ込まれるな

産経新聞 直球&曲球に野口健連載が掲載されました。
以下よりご覧いただけます。

2020年3月12日 産経新聞掲載
直球&曲球 「閉塞感」に飲み込まれるな
 新型コロナウイルスはまたたく間に世界中を駆け巡り感染者は10万人を超え、死者は4千人を超えている(10日現在)。政府も遅きに失した感はあるが、中国、韓国からの入国に制限を課した。また突然の「学校の一斉休校への要請」「イベント自粛要請」に社会も混乱した。

 下された政治決断に対し「その科学的根拠は」と方々から追及されている。確かに「根拠」を示すのは重要だが、相手は未知なるウイルス。科学的な根拠が「確かなもの」になるまでジャッジできないようでは困る。専門家の意見もいろいろあり、確かではない。例えば「陽性から陰性になった人はもう大丈夫」とテレビで説明していた専門家もいたが、結果は異なった。

 社会が混乱するのは自然災害でも同じだが、災害時には救援物資とともに被災地へ駆けつけるなど何かしらアクションを起こせる。そこから「助け合い」や「団結力」が生まれる。しかし、今回は目に見えない敵ゆえに「団結力」よりも戸惑いから生じる「閉塞(へいそく)感」の方が強い。

 ネット上では不確かな情報が飛び交い、ギスギスとした誹謗(ひぼう)中傷の嵐、ドラッグストアにはトイレットペーパーを求め長蛇の列。「マスクはいつ買えるんだ!」と店員に詰め寄る客の姿。「いつもは優しいお客さんたちが今では鬼に見える」との店員さんの悲痛な声に心が痛んだ。

 一番怖いのは、出口の見えない閉塞感の中で人々の心が蝕(むしば)まれ、ゆとりを失うこと。僕もこの閉塞感にのみ込まれてはいけないと先日、山へ向かった。貸し切り状態の山はとても静かだった。ここには騒音がない。思いっきり深呼吸し心の中にあったモヤモヤを吐き出した。久々に感じた解放感。1日の山登りだったが内側に向いていたネガティブな気持ちが、ポジティブへと変化し表に向いた。森の中、休校で学校に通えない子供たちのことを考えていた。

 「不要不急の外出は控えて」も理解できる。しかし、団体でなく、家族単位で、こういう時にこそ、人混みを離れた自然の中で、ゆっくりと過ごす時間もまた、大切ではないだろうかと。

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