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産経新聞 直球&曲球「ネパールで2校目の学校建設」

ポカラ小学校

2020/10/15

産経新聞 直球&曲球「ネパールで2校目の学校建設」

10月15日産経新聞「直球&曲球」が掲載されました。

「ネパールで2校目の学校建設」
ネパールのポカラという街に学校の新校舎を建設中だ。ネパールで2校目となる学校作り。
1校目はマナスル山麓のサマ村に建てたが、学校作りは実に大変だ。建物を建てるだけではなく、村人たちに教育の重要性を説明し、子供たちが学校に通える環境を整えなければならない。そのためには何度も村に足を運び、少しずつ時間をかけながら信頼関係を構築していく。村人から「子供は労働力」との声も飛んでくる。学校よりも牛の面倒であり畑仕事なのだ。親の大半も教育を受けておらず、理解してもらうのは至難の業。気の遠くなるようなプロセスを経て学校は誕生する。

 次の問題は教室に入れない子供たちの存在だ。校長先生に「その子たちはどうして教室に入らないのか」と尋ねたら「カーストが低いから」と説明され、驚いた。カーストによる差別は至る所で見聞きしてきた。しかし、まさか自分の建てた学校でそのようなことが起きていたとは...。さっそく村の人々を広場に集め「学校内ではカーストによる差別は認めない。全ての子供を教室に入れて授業をする」と伝えた。村人は「一体何を言っているんだ!」と心底驚いている様子だった。

 彼らには彼らの文化があり、尊重しなければならないのは分かる。しかし、こればかりは僕も引けなかった。ネパールでは貧困やカーストの問題で学校教育から取り残されてしまうケースが多い。そしてさらに貧富の差が広がっていくのだ。ここが踏ん張りどころだ、とあの手この手で説得を試みた。

 そして2年後、驚いたのは教室に入れてもらえなかった子供たちが一緒に椅子を並べ、一緒に給食を食べ、一緒にダンスをしているではないか。村長は「あの時のケンの一言は村人にとって衝撃的だった。村長でありながらも村人でもある私にはとても口に出せないことだった」と。学校を作る理由はたくさんあるが、最も大切なことは「教育から取り残されてしまう子供たちを出さないこと」だろう。
 ポカラでの学校も、教員や地域の人々と一緒になって全ての子供たちが教育を受けられる「希望の学校」にしたい。

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