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2020年新型コロナウイルス

産経新聞 直球&曲球「やってよかったと思える東京五輪に」

2020年新型コロナウイルス

2021/07/22

産経新聞 直球&曲球「やってよかったと思える東京五輪に」

産経新聞の連載コラム「直球&曲球」が掲載されました。

7月22日掲載 
「やってよかった」と思える東京五輪に

トラブル続きだった東京五輪が明日開幕する。振り返ってみれば、メイン競技場の新国立競技場のデザインからして二転三転。個人的には、最初の350メートルを超える「キールアーチ」を象徴とした斬新なデザインにワクワクした。開閉式屋根を備えた構造も魅力的だったが、建築費の高騰うんぬんで幻と化してしまった。次にエンブレム騒動。大々的に発表されたがデザインが盗用疑惑によって、やはり幻に。中でも印象を悪化させたのは「コロナに打ち勝った証しとして東京五輪を開催する」と発言し続けてきた菅義偉首相の言葉ではなかったか。

五輪までに「コロナに勝てる」と信じた人は果たしていたのだろうか。来日しているIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長の「日本人のリスクはゼロ」という発言も火に油を注ぐ結果となった。むしろ「リスクはあるが、それでも五輪を開催する意味がある」と開催の意義を語ってもらった方が心に響いたのではないか。

だが、東京五輪は始まる。五輪をめぐる意見の対立から社会の分断があったかもしれないが、始まったからにはベストを尽くすべきだ。誘致の際の決めゼリフである「お・も・て・な・し」。これも大事だ。参加する世界各国のアスリートたちも多くの不安を抱えて来日されたはず。五輪開催の有無と、出場するアスリートたちの思いは別問題。迎え入れる以上は制限があるにせよ、工夫を凝らし気持ちよく過ごしていただき、「日本に来てよかった」と心底に思ってもらえるような真心のこもった接し方が大切だ。日本人が最も大切にしてきた部分でもある。

歴史上最も困難な五輪になるだろう。社会が抱えている多くの課題も露呈した。つくづく感じたのは、「何かしらの犠牲を払わなければ社会は進歩しない」ということだ。そうだ、とするならば、この未曽有の試練からも「学び」はあるはずだ。東京五輪が終わったらしっかりと総括し、この経験を次に生かすべきだ。

やるからには「いろいろあったけれど、やってよかった」と後世に伝えられるような大会にしなければならない。
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