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元マネージャー小林元喜×野口健 緊急対談「告発の真相!?」

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2022/03/17

元マネージャー小林元喜×野口健 緊急対談「告発の真相!?」

元マネージャー小林元喜×野口健 緊急対談001

野口健の元マネージャー、小林元喜氏が発売前の著書「さよなら、野口健」を届けに来てくれました。せっかくなので、この本にこめた熱い想いを語っていただきました。

野口健 元マネージャー小林元喜、告発の真相!?



野口) お、ついにきましたか。

小林) 健さん、どうも。

野口) こわいなぁ。

小林) できました、3年かけて。

野口) できましたか。私、この本、いただいていいですか?

小林) もちろんです。お読みいただければと持ってきました。

野口) すごいタイトルだよね。『さよなら、野口健』。それにしてもさ、この字は子どもが書いたの?

小林) これは、私がサインペンで書かせていただいて。

野口) これ、小林の字なの?

小林) はい、まさか自分の字がこういった形で人様の目に触れることになるとは・・・

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野口) 『さよなら、野口健』。いやー、タイトルもすごいけど、この字の下手さ加減もすごいな。これは、やっぱり集英社が狙ったかな。

小林) 装幀家の鈴木成一さんから、「小林さんの手書きの字が欲しい」と言われて。

野口) この字、一生懸命書いたの?

小林) はい・・・ 私もさすがにこの字が上手とは思っていないので、NGだろうなとは思っていましたよ。だけど、ビックリすることに装幀家の方から「これは良い感じだ」とお返事をいただきまして。

野口) このくらいの方がインパクトあるかもね。世の中、達筆な人が多いからね。今まで、いろんな本を見てきたし、出版してきたけど、こんな汚いタイトル・・・ いやいや、本音が出ちゃったよ。こんな汚い字の表紙は見たことないよ(笑)。

小林) 僕もないですけどね(笑)。

野口) 表紙に写っているこの人は、格好良いけどね! ちなみに、これは、まだ発売されてないんだよね。

小林) 10日後の3月25日、金曜日の発売です。

野口) 発売される前から、話題になっているなあ。

小林) 話題の内容が・・・ ちょっとヤバかったです。

野口) ヤバいというかね・・・

小林) インターネットを見たら、「元マネージャーが野口健氏を暴行で告発」となっていて。

野口) 僕も「告発されるんだ!」って、びっくりしたよ。

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小林) 全くの事実無根なわけですから、「インターネットって怖いなあ」とちょっとパニックになりました。

野口) インターネットって、本当に怖いよね。僕もまだ、本を読んでないから、わからないんだけどね。事前に原稿のチェックも一切してないしね。3年ぐらい前に、小林が本を書くって言って、あの時に約束したよね。小林がものを書きたいっていうし、俺(野口健)を書くというから、じゃあ書いてみたらと。お酒を飲みながら、「じゃあ、好きに書け」と言って。その時に「原稿をどうしようか?」という話になったよね。で、僕が、原稿は最後まで見ないよ、と言った記憶があるんだけど、正しいかな?

小林) そうです。今回、健さんをはじめ、40人くらいの関係者に取材をさせていただきました。取材をすればするほど、いろいろなことが見えてきて、それを実際に原稿に落としていく。そうすると、健さんに「好きに書いていいよ」と言われたものの、「待てよ。これは本当に書いていいのか? ここまで書いて本当にいいのか?」といったせめぎ合いが自分の中で始まるんです。でも、「野口健さん、素晴らしいです」といったエピソードだけを書いていくと、自分でもすごくつまらない原稿だなと思い、「何か違う」「何か違う」となって、消しては書いて、書いては消して、3年かかりました。

取材の中で、山岳ジャーナリストの服部文祥さんが、僕にとっては非常にびっくりするようなお話をしてくださったんです。野口健さんは「登山家としては市民ランナー的、3.5流」といった発言です。ある種、非常に刺激的な示唆をいただき、僕にとっては発見だったんです。もちろん服部さんも、ご自身のお名前と共に本に書かれるということはわかっている。その前提で服部さんはここまで自分に話してくれるんだ、自分の存在をかけて彼は話してくれるんだ、とわかったときに、これは生半可な上っ面だけを書いて、「野口健さんは、こんなにおもしろい、こんなにすごい人ですよ」と書くのが果たして正しいのか、といった疑問が出てきたんです。服部さんの話をどう受け止めればいいのか、というのが、一つのキーワードになっていったんです。

野口) 「まな板の上の鯉になるから、配慮なく書いていいよ」と言って、この本ができた。まだ読んでないからの内容に関してはコメントできないんだけどね。通常は、ノンフィクションライターが書くときって、対象者が原稿をチェックして、原稿をキャッチボールしながら一冊が出来ていく、これがオーソドックスなやり方だよね。でも、小林が書くってなった時に、僕が定期的にチェックすると書きづらくなるだろうなと。

小林) まあ、それはそれで多分書きづらいですよね。やっぱり忖度ではないけど、気を遣う。思い切って書けるかと言ったら、難しいですよね。

野口) セーブが入るよね。

小林) そうだと思います。

野口) ただ、俺がチェックするっていうと書きづらいけど、チェックを一切しないよっていうと、それはそれで辛かったりした?

小林) それはもちろん、怖いですよね。人様の人生をまともに書くとなると、それだけで怖いです。たとえば「鶴の恩返し」ってあるじゃないですか。

野口) あのカタカタカタっていう日本昔話?

小林) そうです。鶴が機を織っているときは、襖を開けないでくださいという話です。見ちゃダメだってことなんです。

野口) あれは、見ちゃうんだよね?

小林) そう、見たいはずなんです。それで見てしまったんです。

野口) 見て、どうなったんだっけ?

小林) ちょっと、詳細は覚えてないんですけど・・・

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野口) 大変な事になっちゃったんだよね?

小林) そう、大変な事になってしまうんです。ずっと健さんのことを調べて、1年目、2年目、3年目と取材していくと、だんだん襖を開けたくなるんです。

野口) 僕の襖?

小林) そうです。健さんの襖を開けるんだったら、俺の心の襖も開けなきゃな、といった覚悟が途中から定まってきたんです。健さんはパンツ一枚になっていただきます。僕は礼儀として、パンツも脱ぎますみたいな話で、襖を全開にしようと思いました。

野口) え、じゃあ、ここは小林さんのフルチンが出てくるの?

小林) いや、フルチン自体は出てきませんが、僕の事は、健さん以上に書いているんです。
それはそれで怖いんですけど、冷たい水に全身つかると、度胸も据わるというか、途中から筆がのってくるんです。人間、良いところもあったり、知られたくないところもあったり、自分自身でもイヤな奴だなと思うこともれば、凄くイイ奴だなと思うところもある。そういった、全く逆のモノを人間は持っているじゃないですか。そういうものを全部含めて人間だから、僕も、健さんも。
健さんだけを丸裸にして書くというのは、フェアじゃないなと思ったんですよね。18年間の付き合いのなかで、10年間マネージャーをやって3回辞めている。健さんとの関係にすごく苦しむんです。途中からは私も家庭もあって、家のローンもあって、子どもも二人いる生活になる。そんな中で、仕事を辞めて、もう一度、前の職場にもどるって、一度ならまだしも、3回ってなかなかないですよね。3回も、野口健事務所を出入りしているというのは、当然僕自身の労働市場価値を落とすんですよね。「野口健さんのところで、3回も働いているんですか、ぜひ、うちの会社で働いてください」となるわけがないんです。

野口) 履歴書に野口健事務所入社、退社、入社、退社と3回書くわけでしょ? 理由を聞かれないの?

小林) 会社の面接では、取り繕うわけですよね。何とかして説明をする。でも、この本では取り繕えないな、と思ったんです。野口健さんと離れたいと思ったことは何度もある。でも離れられない。離れた時もあったけど、切っても切れないこの関係が作品になるんじゃないか、と思ったんです。一つの人間の関係性の真実を描けるんじゃないか、と気が付いたんですね。そして、3年間、書いて直して、書いて直している中で、グッと入り込んで書くことができた時に、集英社の開高健ノンフィクション賞にノミネートされたんです。

野口) 開高賞にノミネートされたのがすごいよね。

小林) その時、「ああ、このくらい入り込まないと人間を書くということにはならないんだな」と分かったんです。

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野口) なるほど。そうなんだね。少し話は変わるけど、それにしても先日出た雑誌のFLASHさんの記事、なかなかいいセンスしているね。『3.5流登山家の「肘打ち」「粘着LINE」』って書いてあるぞ。「肘打ち」は富士山のイベントの時だったかな。

小林) そうです。富士山です。

野口) 俺も覚えているわ。あの時、俺、何か追い詰められていたんだよね。

小林) そうなんです。お互い寝不足で追い詰められていたんです。とても大きなイベントで、全国から集まる参加者全員と交流をしなくてはいけないという、健さんにとってもすごくストレスのかかるイベントでした。そんな中で、僕が後ろの方で代理店の方とバカ騒ぎをしてしまって。健さんからすると「俺が大変な時になんじゃ」と思う気持ちはよくわかるんです。反射的に健さんの肘打ちがきて。でも、その瞬間に健さんが「ああ」と深く後悔したのがわかったんです。僕も長い付き合いだからよく分かるんです。

野口) よく、覚えているよ。小林も悲しそうな顔をしていたんだよね。もう一つの「粘着LINE」。これは、今でも直ってないわ。俺、ぐちぐちぐちぐち、今でも書くもんね。

小林) 実に理路整然としたしっかりした文章です。

野口) テメー、コノヤローとは書いてないよね?

小林) それは無いです! 淡々と、まともに来るから、正論ほどきついものはないということです。

野口) FLASHさん、2ページで、よくこんなに的を射た記事を書いたね。

小林) FLASHさんは、しっかりゲラを深く読み込んでくださり、非常に一生懸命取材してくれたんですよ。僕としても初めて取材を受けて、結構充実した感じだったんです。ただ、タイトルがすごくて、僕もビックリしました。

野口) それにしても、この記事を読んで、懐かしいなと。僕が30代で、小林が20代だよね。お互いあの頃、まだ若かったし、激しかったよな。俺と小林の歴史みたいなものを思い出したよ。

小林) そうです、2人の歴史を336ページ書いたんです。

野口) FLASHさんはこの本をちゃんと読んで取材してくれたんでしょ。でも、ネットって仕方ないんだけど、このFLASHさんの記事を元に、まったく別の人が全然事実と違うことを書いて拡散した。それこそ記事の一部分だけ切り取って、それだけが広がっていくというのがあるよね。例えば、僕が学生の頃に書いた『落ちこぼれてエベレスト』という本があるんだけど、20年以上経って、その一部分だけが切り取られて、悪意に満ちた記事がでるんだよね。確かに僕の本から切り取っているから、嘘ではないよね。でも、違う印象を与えるんだよ。事実が事実でないように伝わっていく・・・。そういうのを僕は何度か経験している。こういう仕事をしているし、ある意味仕方ないと思う。

小林) 私は初めての経験だったので、なかなかびっくりしました。「元マネージャーの小林が野口健を暴行で訴えた」といった話は全くの事実無根なわけであって。作品自体に関しては厳しい指摘があるのは当然ですし、それは僕も本気でやっていますから、どんな意見もウエルカムなのですが、ネットのフェイクニュースは事実無根であることはちゃんと伝えたい。そもそも、告発なんかしていたら、ここに来ていませんし、本も書いていませんから。

野口) 小林は、これから、こういう経験をしていくんだよ。僕はこれまで何度か経験しているけど、やはり凹むし、傷つくし、トラウマになるよね。炎上すると、感覚だけど、バッタの大群みたいなのがワーッと押し寄せて、むしゃむしゃ食べていく。払っても、払っても来るわけだよね。だけど1カ月もすると、バッタの大群がスーッと引いていくわけ。あちこちから一斉にきて、一斉に引いていくんだよ。コントロールしている人がいてもおかしくないけど、そんな人はいないんだよね。これがネットだよね。たぶん、次のターゲットを見つけて、ワーッとそちらに行ってしまうんだよね。これが、今のネット社会の一番の闇だよね。
大人でも追いつめられて、命を絶つ人だっているわけだから、子どもはもっと辛いよね。
僕が炎上して苦しんでいた時に、小林は色々とアドバイスをくれて、事務所としての説明文を書いてくれたこともあったよね。今度は小林自身にも向かうこともあるんだよ。それが、世に名前を出していくということだよね。でも、いい経験したと思うよ。

小林) 洗礼を浴びた感じです。

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野口) 結構、疲れたでしょ。

小林) はい、ショックでしたね。頭が真っ白になりましたね。

野口) 小林は事務所を3回辞めたけど、そのきっかけを僕は作っているんだよね?

小林) それはお互い様ですよね。人間の関係は生半可ではない、ということを書いたんです。

野口) 小林は、もともと、小説家になりたくて、うちにいるときも、朝5時に起きて、小説を書いていたよね。でもなかなか小説では芽が出なくて、葛藤していた。だけど、小林の文章はよく読んでいたからノンフィクションならいけるんじゃないかと思ったんだよ。それで、ある時ノンフィクションを書いてみたらと薦めたんだよね。小林が、うちで働きながらも、何かを書きたくて、燻っている気がしたんだよね。

小林) 僕たち二人ともお酒が好きで、よく飲んでいたけど、そのたびに、健さんは、「書かないのか」、「書いてみたらどうか」と言ってくれていました。僕は、人生の最優先事項が書くことだったんだけど、40歳にもなって、家族もいるのに物を書いて夢を叶えたい、というのもどうかとも思し、恥ずかしいといった思いもあった。そのモヤモヤしたところを健さんが突いてくるんですよね。この3年間は、これが最後だと思って、とことん描くぞと思って、健さんの事も僕の事も、人間の良いも悪いも、覚悟決めて全部書いたら、開高賞にご縁をもらったんです。
以前は、勝手に自分の中に限界を決めていて、どうせできるわけない、どうせ書けるわけない、といったふうに自分を否定しながら、生きてきたわけなんです。でもどこかで、そんなんじゃない、きっと何かあるはずだ、とも思っていた。 物を書きたいんだ、物を書きたいんだとずっと思ってきた。僕には、それしかなかったんです。それを健さんは見抜いていた。
そして、それまでは小説にこだわりがあったんですが、ちょっと戦い方を変えてみようと思ったんです。小説にもいろんな小説があるように、ノンフィクションにもいろんなノンフィクションがあります。それで、ちょっと書き方を変えたら、角幡唯介さんが「新しい人物ルポだ」といってくれたんです。

野口) 20代、30代のころ、酒飲みながら、人間は何のために生きているのかとか、そんなことばかり話していたよね。

小林) その話しかしてこなかったですよね。

野口) みんな夢を持っていても、途中で夢を諦めるのが普通だよね。でも小林は、夢がずっと残っている気がしたんだよね。

小林) はい、それが苦しくて、苦しくて。

野口) それがわかったから、そこの苦しさを、敢えてグリグリしたんだよ。そういう苦しみから逃れることは出来ないからね。そこと向き合え、という意味だったんだよ。

小林) 健さんは25歳で7大陸最高峰最年少登頂を樹立して世に出ましたよね。僕はいま43歳ですけど、一般的には人生において夢を叶えるということは簡単でないとわかっている。僕にとっては、作品を書いて1冊の本にするということですが、そう簡単ではないわけです。それであの頃、健さんに「あなたはうまくいったかもしれないけど、そう簡単ではないんだよ。」と言いたかった。

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野口) でも、俺は、小林はノンフィクションならいけると思ったよ。小説はわからないけどね。

小林) それが自分にはわからないわけですよ。

野口) 小林が夢を忘れて、燻っていなければ、そんなことは言わないよ。ずっと燻っていたから、「やってみなよ」と思ったわけだ。そういう意味では、まさしく「粘着LINE」のようにグリグリと言い続けたよね。

小林) そういったことも全部書き尽くしました。

野口) 書いてあるのか~。でも、結果的には3年かけて、本ができたわけだよね。

小林) そうなんですよね。わからないものですよね。

野口) 角幡さんが、帯にコメントくれるなんて、すごいことだよ。

小林) 本当にありがたいことです。

野口) 開高健賞の次点なんて、すごいことだよね。これが来週出版されるのか。これまで3年間頑張ったわけだから、1か月くらいは休んで、そうだな、GW終わったら次の本だね。

小林) え、、、

野口) そう、第2作目だよ。それが大事なんだよ。僕は10年かけて7大陸を登ったんだけど、その翌年には清掃登山をしたんだよね。そのスピードがよかったと思っている。しばらく間を空けてしまうと、エベレストに向かっていたエネルギーが一旦落ちて、それをまた上げるのって難しいんだよね。だから、『さよなら、野口健』が出て、これで満足してはいけないんだよ。次に切り替えて、来年の今頃には、第2作が出来るようにしないと。たとえば『ただいま、野口健』とか。

小林) (笑)

野口) まあ、それは冗談だけどね。いろんな生き方があっていいと思う。会社勤めしながら、この本を書いた。野口健事務所にいるときも、小説を書きながら、仕事をしていた。小説は世に出なかったけど、やっていることは同じだよね。たまたま、今回は、本になっただけ。
野口健事務所にいるときも、小説を書きながらも、仕事の手は抜かなかったからね。毎朝5時起きて、2時間を執筆に充てる。これを毎日続ける。これは、なかなかできないことだよ。とにかく、ずっと書いていく。世に出る保証なんて全くないのに。賞に出しても、落ちてしまう。賞に出す前に、信頼している編集者に見てもらったら、賞に出す価値がないとコテンパンに言われたこともあったでしょ。

小林) 懐かしいですね。三島由紀夫さんや村上龍さんの編集を担当されたとても厳しい方に、「こんな原稿を書くくらいなら、紙の無駄で環境破壊になるからやめろ」と言われたのをよく覚えています。そう簡単には認めてくれないですよね。今にして思えば、一種の愛情表現であって、それでも食らいついて行くぐらいじゃないとダメだ、ということがよくわかります。

野口) それは厳しいなあ。

小林) この本は、3年間で数えきれないくらい推敲して、大幅な改稿だけでも10回はやりました。ここまでやった、もう限界だ、と思ったところがスタートでした。もう無理だ、全て出し切った、絞っても何も出てこないと自分では思っていても、それは大間違いで。まだまだあと5回くらい絞る、みたいなところまでやると、やっと神様が夢への道を開けてくれた、といった感じでした。努力というか諦めないでやり続けると何かが補えて、形になることがあるんだなとわかりました。逆に言うと、これくらいやらないとダメなんだなと。

野口) うちの事務所にいるときから、ずっと、朝5時に起きて書き続けてきたことが、繋がっているんだよ。

小林) 書き続けるって筋トレみたいなものなのです。ずっとやっていると脳の回路が上手に回っていくんです。でも、会社でもうまくやりたい、家庭も円満で、本も書いて、批判も受けたくない・・・そんな甘いことではできないですよね。やはり、「一点突破、全面展開」ではないですけど、紙に書いた黒点に虫眼鏡を当ててジリジリ焼いていくような、そのくらいの集中力でやらないと、絶対にできないんです。
物を書くって命を削るってよく言いますけど、僕にはそんな感覚は無くて。生活とか生きている方が、ずっと命を削りますよ。むしろ、書いていると蓄積で命が増えていく感じなんです。社会に出て働くことの方が、ずっと苦しかった。たぶん、僕は、不器用というか、社会不適合者だから、うまく生きられない。どうしてきちんと家庭を守れないんだ、どうして一か所の職場で働けないんだ、と苦しみました。何でいまさら物を書きたいなんて思っているんだ、といつも自分を責めていました。

野口) 僕は、そういう傷口に塩を塗っていたというわけだね。

小林) 健さんは『あきらめないこと、それが冒険だ』という本をだしているように、しつこくずっと同じことを続けている。「でも、それは、あなただからできるのであって、それを僕に押し付けないでくれ」って思っていたんです。本当に苦しかったから。でも今回、いろんなご縁と運に恵まれて、なんとか本ができることになったときに、人生の不可思議を感じましたね。

野口) そういうことが、この本に書いてあるんだね。

小林) そういった人間心理の綾というか二人の攻防はしっかり書いています。

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野口) 結構、僕が追い詰めたんだね。

小林) 互いに追い詰め、追い詰められたから、3回も出入りした。普通に平和に健さんといろんなところに行って、楽しく食事して、それだけだったら、この本はできていないですから。多くの場合、何かをやろうとしても個人的現実は社会的現実に負けていく。でも、負けて、負けて、そこから立ち上がろうとするときに、摩擦が生じて、そこに文学が生まれると思っています。
僕と健さんの関係もかなり傷つけあったし、その傷からこの文章が生まれてきた。鮭が産卵のために川を遡上する時に全身が傷だらけになるじゃないですか、そんな風に人間も生きていくと傷がつくから、痛い。二人の傷、痛みを書いたんです。傍から見たら、とんでもない本だと言われるかもしれない。「ただの暴露本だ」と受け取る人も当然いると思うんです。でも、丸裸にしない限りは、嘘になると思うんです。本当は怖いんですよ。健さんに原稿チェックされずに出版されてしまうわけですから、認識の違いなどもあるだろうし、「お前こんなこと思っていたのか?」ということも、たくさんあるはずなんです。

野口) そうなのか。

小林) 主観って人それぞれですからね。健さんが、この本の通りと思うわけがないんです。健さんはこれを読むのが不安かと思いますが、僕も、健さんがどう思うか怖いです。書くって本当に怖いと思いましたね。

野口) 書かれるのも、怖いよ・・・

小林) そうですよね・・・

野口) でも僕も、書けよ、書けよと追い詰めたのを自覚しているし、小林が3年間、本当に大変な思いをして書いているのも知っている。でも、やっぱり、心の中では、何を書いたのか気になるよ。

小林) そうですよね、気になりますよね。

野口) これだけ、僕の周り、関係者を取材した人は他にいないからね。

小林) 取材は徹底的にやりましたから、自信があります。

野口) 読むのは怖いけど、楽しみでもあるよ。小林さんが何を思っていたのか、じっくり読みますよ。

小林) 人間が避けられないところを書いたんです。

野口) 3年間、本当によくやったと思います。この本を手に取る瞬間をずっと待っていましたよ。

小林) 『さよなら、野口健』はそういう意味なんです。そこは、読んでみて下さい。

野口) 小林さん、やっとやってくれたか、という感じだね。だから、また、グリグリするね。休みは一カ月で、次だね。今度は何を書くかわからないけど、また、朝5時に起きて、書くんだよ。夜中に何度も「粘着LINE」をして、ちゃんと書いているか聞くからね、しつこく。

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小林) はははは(笑)

野口) この本は、小林の命だと思っている。心して、読みたいと思います。

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