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産経新聞連載「上っ面だけの平和主義では意味がない」

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2022/03/25

産経新聞連載「上っ面だけの平和主義では意味がない」

3月24日産経新聞
連載コラム「直球&曲球」が掲載されました。安全な場所(日本)から「妥協しろ」「引け(降伏しろ)」などと様々な意見が飛び交っているが、祖国存亡の危機に立ち向かい多くのウクライナ人たちが自らの意思により志願し戦っている最中にまるで降伏を促すかのようなコメントを耳にする度に平和ボケ日本を感じてしまう。

3月24日 産経新聞掲載 直球&曲球
「上っ面だけの平和主義では意味がない」

昨年末からウクライナへのロシアの軍事介入が噂されていたが「ロシアの脅しにすぎない」と評論家たちの声にもあったように、僕もあったとしても国境紛争だろうと感じていた。

しかし、蓋を開けてみたら一方的な侵略戦争。確かにロシアにとってウクライナがNATOに加入すれば喉元に刃物を突きつけられるようなものかもしれない。しかし、ウクライナは、独立した主権国家である。あろうことか国連安保理の常任理事国であるロシアが国際法を無視し、プーチン大統領は核兵器の使用さえ示唆した。

第三次世界大戦に発展する可能性がある以上、核兵器を保有する大国の暴走に対し、国際社会は経済制裁しかアクションが取れない。ウクライナでの悲劇に対し、明日はわが身と捉えた方がいい。この戦争がまかり通ってしまえば、それを参考にする大国もでてくるだろう。

驚いたのはウクライナ人の一歩も退かない気迫である。軍事力では決定的な差があり、瞬時にウクライナは落とされると感じていたが、ロシア軍は苦戦している。ウクライナでは多くの民間人が志願し、武器を手に最前線に向かった。海外に住んでいるウクライナ人もが祖国へ戻り、戦っている。

しかし、日本国内では「ウクライナは妥協すべきだ。退くべきだ」といったコメントもテレビで耳にする。そして取って付けたように「命は大切だ」と。それらの意見に対し、あるウクライナ人は「日本人はアメリカにしか占領されたことがないから分からない」と反論した。まさに正論。仮に日本がソ連(当時)に占領されていたら今日の日本はないだろう。ロシアに支配されたら絶望的な運命のみが待ち構えているということを彼らは過去の体験から体に刻まれるほど理解している。

「命は大切だ」。それはそうだろう。その命のために戦っているのだ。それを上っ面だけの平和主義を掲げてみても意味がない。まるで「憲法第9条さえあれば国や国民を守れます」と言っているに等しい。

果たして日本が同じ事態に陥ったとき、ウクライナ人のごとく立ち上がれるだろうか...。
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