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トルコ地震支援

産経新聞連載が掲載されました。

トルコ地震支援

2023/03/09

産経新聞連載が掲載されました。

本日の産経新聞に掲載されました。
「寝袋一つで助かる命がある」これは自身の山の経験や今までの被災地支援を通し確信しています。ソーラーランタンプロジェクトについては、次回に書きますが、あの真っ暗闇の被災地の夜に灯がどれ程までに人の心を救うか。東日本大地震の直後、真っ暗闇の被災地の光景を生涯忘れない。

2023年3月9日 産経新聞掲載

【直球&曲球】
寝袋ひとつで助かる命がある

ヒマラヤから帰国し、ホッと一息ついた矢先、トルコ・シリア大地震の速報が飛び込んできた。5万人以上が犠牲となり、トルコでは住居を失い、テント生活を余儀なくされている被災者が140万人以上に達しているという。

深刻なのは寒さだ。「氷点下15度まで下がる」との報道に真っ先に頭に浮かんだのは「寝袋」。布団や毛布は重くかさばるが、寝袋は小さく収納できて軽い。ファスナーを閉めることで体温を中に閉じ込めることもできる。

アウトドア用品が被災地で有効なのは、熊本地震(平成28年)のときに設営した「テント村」の経験からも明らかである。地震発生翌日には「寝袋支援プロジェクト」をやると決めた。

真っ先に連絡をしたのは岡山県総社市の片岡聡一市長。熊本のテント村でも総社市と連携して運営し、揺るぎない信頼関係を築いてきた。

「一緒にトルコ支援をやりませんか」と声を掛けたら片岡市長は1秒で「やりましょう!」。翌日には総社市で共同記者会見を行った。片岡市長の呼びかけで国際医療ボランティア団体「AMDA」もチームに加わってくれた。

集める寝袋は氷点下15度にも対応する冬山用の寝袋。原則新品とした。高価なので最初は1000個を目標にしたが、1週間後には3000個。あっという間に6000個に達した。取り組みを知ったトルコ大使館からは、「多くの被災者が寒さの中、テントやコンテナで生活しています。寝袋はとても助かります」とトルコへの運搬だけではなく、被災者の元へトルコ政府が責任を持って届けてくれることになった。

被災地支援は時間との闘いだ。全ての段取りが整ってから活動を始めたのでは間に合わない。スタッフからは「寝袋を集めた後にトルコ側から『必要ない』といわれたらどうしますか」と心配されたが、そのときは「ごめんなさい、と頭を下げればいい。今は決して足を止めてはいけない」と伝えた。

不安は感じつつも、迷いはなかった。なぜならば「寝袋ひとつで助かる命がある」と確信していたからだ。
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