産経新聞「直球&曲球」が掲載されました。
2025年3月20日 産経新聞掲載
『日本の安保政策を見直す好機だ』
「独裁者」「支持率は4%しかない」...。トランプ米大統領によるウクライナのゼレンスキー大統領への侮辱的な発言に衝撃を受けた。
友邦の大統領に対し、また「3日で落ちる」と指摘されていたロシアによる侵略戦争に丸3年間、祖国を守ろうと甚大な犠牲を出しながらも必死に戦い続けているゼレンスキー大統領に放つ言葉でないだろうに。
ウクライナの法律では戒厳令が出されている状況下においては選挙ができない。トランプ発言の根拠はどこにあるのか。私の知る限り当時の支持率は50%半ば。現在に至っては60%を超えているとの報道もある。ホワイトハウスで行われた首脳会談は見るに堪えなかった。トランプ大統領は「サンキューがない」と罵(ののし)ったが、CNNに「ゼレンスキー大統領は過去に33回はサンキューと言っている」と報じられる始末。
確かにアメリカは多額の資金援助や武器の提供も行ってきた。しかし、それはウクライナを助けると同時に「侵略戦争を決して許さない」というメッセージだったはず。ロシアの侵略戦争がまかり通ってしまえば中国による台湾有事のリスクがより一層リアリティーをもつ。それはアメリカにとっても最大の危機の訪れである。
トランプ大統領が何故にロシアを利する態度を取るのか、真相は分からないが、ただハッキリと言えるのは日米安保を絶対的に信用し頼り切ってはいけないということだ。実際にトランプ大統領は「不公平な日米安保は誰が決めたんだ」と言い出した。
ただ、これをチャンスと捉えてもいい。吉田茂元首相は「金のかかる安全保障はアメリカに任せて日本は経済発展を優先する」と発言していたが、戦後80年、焼け野原だった頃と状況は大きく変わった。「日本を守るのは日本である」が大前提であり、その延長線上に日米安保があると捉えるべきだ。それが正しき国家の姿である。憲法改正に防衛費の大幅な増額、また防衛装備の範囲をさらに広める必要があるだろう。日本がいよいよ両足で立つときがきたのではないだろうか。