ヒマラヤ , レポート・インタビュー記事

2006/05/17

谷口ケイさんインタビュー

 

清掃登山参加の動機?

 2002年と2003年の二回、エベレストの清掃に参加して、最初の年は、なぜ苦しい思いをしてゴミを拾うのかなぁと少し客観的に思っていたのだけれど、二回目の2003年に、エべレストを掃除することに意味があるのではなくて、エベレストを掃除することで周りに与える影響がいかに大きいかという、その後々の影響力の大きさに気づいて、例えばネパールの政府、環境省が、持ち込んだものは持ち込んだ人が持ち出さなければいけないという決まりを作ったりだとか、シェルパ達が、最初はなんで掃除をしているのか意味が全然わからなかったはずなのに、健さんが4年4回清掃をしているうちに、自ら自分たちの子供たちの時代に汚染された水を飲ませたくないとか、そういう思いで積極的にシェルパたちが清掃隊に参加しているんだって知って、すごくここの清掃隊って意味があるんだな、て気づいたのがひとつで、ここからぜひ健さんと一緒に活動を続けて行き、その健さんだからできることはあるけれど、もしかしたら自分にだからこそできることもあるはずだなぁと思って。例えば、私はすごくネパールの人たちが好きで、一緒に山で生活をするシェルパたちと話をして、どんな考えを持っているの?とか、こうじゃないの、と自分の考えを言ったりとか、そういうやりとりをすることで今後の自然とか地球とかに対して何か影響していけるのかなと考えていて。それはもちろん、エベレストとか大きな山に限ったことではなくて、日本の小さな街角だったり普通の裏山だったするんだけど、あえて今回ちょっと危険だなとわかっていても、清掃隊に参加しようという決断を下したのは、自分にだからできることがここにひとつあるかな、という思いがあったので、参加を決めました。

 実は何回か、そんな恐ろしい山には行きたくないと断っていたのだけれども、健さんと一緒に何かをやるのは面白い、というのと、ネパールの仲間たちともう一度何かをやりたい、というのが、私を行こうと思わせた大きなきっかけだったと思います。

うんこ隊長を引き受けた理由は?

 もともとの役割は登攀隊長だって言われていたのですが、それだけじゃ清掃隊に参加する意味がつまらないなぁと思い、あえて自らうんこ隊長になりますと宣言をしたわけです。それは、シェルパ達が最も嫌っているゴミというか汚物だったわけで、シェルパたちは例えば遺体であったりゴミであったり古いテント、そういうものを下ろすのをいくらでもやってくれるのですが、エベレストのときに気づいたのは、彼らの世界にはカーストというどうしても切っても切れないものがあり、最初は理解できなかったけれども彼らの文化を尊重する上で彼らには運べないと、ならば日本隊員の私たちがやればいいんじゃないかという思いがひとつと、日本隊員たちが自らその一番嫌がられる汚いものを下ろすことによって、ネパールの人たちに、何でそんなことをするんだろうというひとつの驚きと、疑問を持ってもらったら説明ができるので、じゃあ掃除しようよ、という問いかけのひとつになればいいなと思ったのがきっかけです。実際やってみて、健さんも積極的に下ろしてくれるしこの村のラマさんたちもすごくありがたいと言っているし、それによってシェルパ達も上部で携帯トイレを使ってくれて下ろしてくれる、という動きにつながったことがすごくうれしいなと思います。

この山の難しさは?

 マナスルだからってことはないと思うのですが、一つ一つの山に性質がいろいろあって、ここは今まで行ったヒマラヤの中では非常に雪が多いのと、あとはその雪が湿気ていて重いので雪の処理が非常に厄介だなあと。天気がすごく不安定というのもあるかなぁ。天気を見るのもひとつだし、天気を見た上で雪質を判断すること、今行くべきなのか行かないべきなのかの判断を決めること、そこが難しいかなと思います。あとは雪崩かな。雪崩多いね。でも、他の山も雪崩はあるので、それは同じかなと思います。

アタックをかける気持ち?

 不安はないかな。何も怖くないっていうわけじゃないんだけど、怖いと思っている限り、たぶん今までどこの山にも登れていなくて、ようは、自分とこの山が今どれだけ仲良くなれているかだと思うんだよね。たぶん三週間前にこのベースキャンプに来たときは、登れるとは思えなかった。でも、今はあんまり不安はないかな。なぜかというと、ずっとここに一緒に暮らしていると、山とも近づくし、仲間とも近づくし、お互いがすごい理解しあえているな、と思う。それは自分と他の隊員だったり、自分と他の山だったり、自分と空の天気だったり全部含めてなんだけど、すごい近づいてきているっていう感じがするから、変な不安はないかな。突っ込みたいとかそういう気負いもなくて、仲良くなってきたんだからもっと近づこうよ、という感じかな。「アタック」といういうよりも、もっと近づいていくよ、という感じかな。

アタックにかける意気込みは?

 ちょっと残念なのは、健さんをはじめ他の日本の隊員が一緒に行かれないことが非常に残念で、その中で私が頂上に行く意味ってあるのかな、って思って。行っちゃいけないんじゃなくって、面白くないんじゃないの?って最初思ったんだよね。その健さんに、役割があると、大きく二つに分けようよ、と。清掃と、登頂と。って言ったときに、そうだ、自分の役割のひとつは登頂だ、って思ったのがひとつと、日本隊員は一緒に行かれないけど、今まで一緒に清掃も山登りもやってきたネパールの隊員とともに上へ向かえるということに対して自分はすごく幸せだなと思っていて、今までキャンプを上に上げるごと、ずっと一緒にやってきた二人のネパール隊員とともに上に行けるということが、ひとつ自信であり喜びであり本当にありがたいことだなと思っていて、絶対に何かをしなきゃいけないとは思わないけど、みんなの想いを背負って、ぜひ三人で一番高いところまで行ってきたいなと思っています。

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