4月27日、5700mのキャンプ1にようやく手動式バイオトイレを設置した。この日は、健さん、小西さん、平賀カメラマンと私の隊員全員がC1へ向かった。上部キャンプ作成部隊の小西さんと私はC1で一泊し、更に上部へと向かうことになっていたので、私は携帯式バイオトイレの換えセットを担いで行くことにした。携帯式便座はシェルパが一緒に運び上げてくれた。この携帯式トイレセットは、2003年のエベレスト清掃登山でも使用したものなので、シェルパ達も勝手知ったるという感じで雪を掘ってスペースを作り、トイレを設置してくれた。早速、下痢気味の小西さんが立て続けに使用。
その二日後に、田部井さんと平木さんにC1でお会いしたので、我が隊のトイレを是非お使いいただきたくお願いをすると、お二人とも楽しげに(常に元気で楽しげなお二人なのです!)トイレの交換方法などを試してくれた。
しかし、一番の核心は、今までこのようなトイレを使うことに慣れていないシェルパ達にしっかり使ってもらうこと。トイレはシェルパにとって敬遠される存在で、カーストのあるこの国では、シェルパは決して汚物に触らないカーストなのである。エベレスト清掃のときもその問題はあり、汚物を下に担ぎ下ろすのは我々の重要な役割となる。ポイントは、寒さで凍った汚物が融ける前、午前中の寒い時間に急いで下ろすこと!さもなければ、恐るべき臭いに包まれてしまうことになりかねない。
汚物を担ぎ下ろす行為と共に、これらがゴミと一緒で、長い年月の末に氷河と共に汚水となって下界の村の飲料に注ぎ込むという恐ろしさにつながるのだということを伝えなければならない。このことは、サマ村のラマが、登山隊に対して懸念していたことの一つでもあったのだ。
谷口ケイ
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