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2006年マナスル清掃登山 , 地球温暖化 , 富士山清掃 , 教育

マナスル・富士山同時清掃を終えて

2006年マナスル清掃登山 , 地球温暖化 , 富士山清掃 , 教育

2006/07/13

マナスル・富士山同時清掃を終えて

  マナスル・富士山同時清掃登山が無事に終了した。一ヵ月半に及んだ活動を終え、帰国したが、憧れのマナスルは想像以上に過酷だった。ヒマラヤ山系の中でも降雪量が最も多いマナスル。出発前から雪崩の危険性は指摘されていた。想定していたもののマナスルの大雪は想像を遥かに超えた。ベースキャンプでの積雪量は 2 メートルを超え、この辺りにゴミがあるだろうと推測しスコップで雪を掘り続ける。その光景はまるで雪崩の救助活動のようだった。ある時には 20 人で 2 時間以上掘り続けチョコレートの包み紙一枚ということもあった。ごみがあるのは分かっていながら回収できないもどかしさ。そんな日々が続いた頃、シェルパの一人が雪の中からまとまったごみを発見し、その瞬間の彼のまるで井戸水を掘りあてた砂漠の民のような喜びに満ちた顔に皆が爆笑。ゴミ拾いというよりもゴミ捜索だった。

 ヒマラヤ遠征は 30 回を超えたが、年々ヒマラヤの様子がおかしくなっている。驚いたのが 4 月中旬にヒマラヤの高所でありながら、みぞれが降り、 5 月中旬にはほとんど雨になった。そして雪崩の音がいつまでも鳴りやまない。乾期であるにもかかわらず雨が降ったり、急激に氷河起きたりと、ヒマラヤの異変に気がついていたが、ここまでくるともはや「異変」ではなく「変化」の段階だろう。モンスーン(雨季)も例年より 3 週間も早くシェルパ達も「こんなことは始めてだ」と驚いていた。

 日本でも地球温暖化といった言葉はよく耳にするが、そこには危機感やリアリティーなどない。しかし、このマナスルで雪崩と共に過ごしていると温暖化の恐怖を骨の髄から味わう。マナスルでゴミを拾いながらもその先にもっと大きな問題を抱えている地球の姿を見た。

 雪崩が相次ぐ状況下では総勢 15 人もの命を預かる隊長としては眠れない夜が続いた。ゴミを拾いに来て自らがゴミになるわけにはいかない。ヒマラヤのような現場では判断はいつでも難しいが、 5 月中旬に清掃活動をマナスル上部からベースキャンプ周辺に移した。エベレスト清掃活動では7トン以上ものゴミを回収してきたがマナスルでは 222 キロ。けっして満足のいく結果ではなかったが嬉しい出来事もあった。

 1つは同時に行った富士山清掃活動。女優の若村麻由美隊長を先頭に約200人が集まり約 3 トンものゴミを回収した。マナスル清掃隊と富士山清掃隊が衛星通信を使って生中継を行い互いの活動を報告しあった。若村隊長から伝わってくる富士山を綺麗にしたいという気迫が嬉しかったし、ゴールデンウィークでありながら沖縄や北海道といった遠方からも多くの参加者が駆けつけてくださったことは大きな励みになった。

 そして谷口ケイさんが我が清掃隊のもう1つの目標であった代表してマナスルに登頂してくれた。彼女の登頂の知らせをベースキャンプで徹夜待機しながら待っていたその時に「けんさん、マナスルに登ったよ」とのケイさんの声が無線機から聞こえてきたときは感動のあまり涙がでた。

 そして最後に清掃活動を終えマナスル山麓のサマ村に戻ったら村のあちらこちらに手作りの日の丸が掲げられ、村人約150人が広場に集まり「日本人が私の山をきれいにしてくれた。次は我々の番だ!」との掛け声でサマ村の一斉清掃活動が行われた。清掃活動を始めて行う村人にとってはなにがゴミなのか分からない。一生懸命拾ってくれるのだが、よく見ると牛の糞をゴミ袋に入れていた。ガーデニングじゃないんだからそれは回収しなくていいと説明しても、理解するのに時間がかかった。それでも汗を流しながら必死にゴミを拾ってくれ、半日で 5 トン強の回収に成功。カトマンズでの会見でサマ村の代表が「日本人のマナスル初登頂は日本社会に大きな夢を与えたと聞いた。それから 50 年、今度は日本人がマナスル清掃活動を行い私達に夢を与えてくれた。これからはごみの日をつくり毎月清掃活動をする」と発表してくれた。

 エベレストや富士山などでゴミを回収して 6 年目になるが、気がついたのが環境教育の必要性だ。ゴミを拾うだけではゴミは無くならない。罰則などの強化も必要だが、それだけでもイタチごっこ。どうすれば新たなゴミが出ないようになるのか、大切なのは地元の人々の環境問題に対する意識だ。マナスル活動でサマ村の人々が動いてくれたことが、マナスル清掃活動に命を懸けてきた私達への何よりものプレゼントであった。 

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