アジア・太平洋水サミット , 地球温暖化 , 政治

2007/12/24

能天気な日本

 第1回アジア・太平洋水サミットを終え、25日から再びヒマラヤへ。水サミットと同時期にCOP13(国連の気候変動枠組み条約代13回締約国際会議)が開催されていたが、結局は明確な温室効果ガス削減の数値目標が見送られてしまった。EUは数値目標にこだわったが、アメリカが強く抵抗。日本はアメリカを枠組みに取り入れるために難しい数値目標設定よりも「ポスト京都」の新たな枠組み作りを優先し数値設定に対して具体的な削減目標を先送りする姿勢に終始。EUも世界最大の二酸化炭素排出国アメリカの離脱阻止で妥協。結局、「世界の排出の大規模削減が求められている」といったあまりにも抽象的な表現にまとめられたが、そんな事は百も承知であり、そんな言葉よりも今必要なのは具体的なアクションではないか。

 第1回アジア・太平洋水サミットの時も海面上昇で国土が失われている南太平洋・ニウエのビビアン首相が「いつまで話し合いばかりしているんだ!毎年のように国際会議をしているのに、なにも始まらない。私達には時間がない。」と激高する一幕があったが、このCOP13でも島しょ国グループ代表のアングス・フライデー氏(グレナダ国連大使)は「土壇場で内容が薄められ、非常に失望している」と表明。パプアニューグニア代表にいたっては「アメリカは先頭に立って温暖化問題に取組むつもりがないなら、邪魔をせず、どこかにいってくれ」とこれなブチ切れに近い表現だろう。直接的に深刻な被害を受けている国からしたら、怒りを爆発させるのも当たり前の事だろう。

 またしてもアメリカが足を引っ張った。分からない国だ。あれだけ世界平和を大義名分にテロとの戦いを宣言し争いを繰り返しているにも関わらず、環境問題となるととたんに駄々をこねる「落ちこぼれ」になる。まるで核兵器開発に露骨に駄々をこねる北朝鮮のようだ。気候変動にとっての「悪の枢軸」はそれこそアメリカご自身ではないか。日本はいつまでアメリカのお供をするのだろうか。福田総理を批判しているつもりではないが、「まとまって良かった。どの国も入っている。素晴らしい成果だ」との福田総理コメントに私にはなんとも能天気なコメントなのだろうととても喜べるものではなかった。


 実際に日本にはアメリカの巻き込まれた影響で「削減目標への妨害をやめてほしい」「日本が抵抗勢力」「京都ではヒーローだった日本がなぜバリでは指導的役割から後退しているのか理解できない」などといった厳しい意見が相次いだ。来年の洞爺湖サミットでは気候変動が最大のテーマ。これらの状況で果たして日本は議長国として世界にリーダシップを発揮できるのだろうか?とても不安になる。少なくとも日本は次の国際会議にてアメリカに削減義務を明確に約束させる並大抵以上の責任を果たしていただきたい。

 原稿だって締め切りがなければ書けるものではない。環境問題への取り組みも同じだ。そろそろ日本も腹をくくる時期が来ているのではないだろうか。私は環境省の各国の企業などが温室効果ガスの排出枠を市場で売買する排出権取引制度の導入について「非常に有効手段」としているには素直に評価できる。

 例えば私がテーマとしているイムジャ氷河に関してある企業に水力発電の技術を活用し、あふれそうな氷河湖に穴を開け水を抜きつつ水力発電を行いシェルパの村々に電気を普及させるのはどうだろうかと、ご提案させて頂いている。これだって小規模ではあるが排出権取引の材料となるだろう。そして猛反対の環境税に大しても消費税同様にこれは逃げて通れなくなるだろう。時代の流れなのだ。

 この度のヒマラヤ遠征ではシェルパの村々での清掃キャラバン、氷河湖調査、ヒマラヤ登山、そしてカトマンズで記者会見を行い改めてネパール社会にヒマラヤの氷河が急激に融解している事実、深刻さを訴えていきたい。ツバルは国をあげて徹底して海面上昇によって島が沈んでいる事を世界に訴えている。ネパール政府にはもっともっと声を上げて頂きたい。このままでは2035年にはヒマラヤの氷河が消滅するとも指摘されている。時間がないのである。

さて、愚痴もここまで。水サミットを受けて自分に何ができるのか、環境省や外務省などとも連携を深めて次に繋げていかなければならない。そう、「前へ前へ」です。

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