ホーム

ブログ

2008年冬ヒマラヤ , アジア・太平洋水サミット , ヒマラヤ , 地球温暖化 , 氷河湖・水環境

再びイムジャ氷河湖へ (ディンボチェ~チュクン~イムジャ氷河湖~チュクン)

2008年冬ヒマラヤ , アジア・太平洋水サミット , ヒマラヤ , 地球温暖化 , 氷河湖・水環境

2008/01/08

再びイムジャ氷河湖へ (ディンボチェ~チュクン~イムジャ氷河湖~チュクン)

午前9時40分、チュクン村目指してディンボチェ村を出発。発つ前にディンボチェ村でいつもお世話になっている「アマダブラムロッジ」の女将さん、 ダワ・ドマさん(50才)にイムジャ氷河湖について質問をしてみた。何故ならばICIMOD(国際総合山岳開発センター・本部はカトマンズ)の発表によれ ばイムジャ氷河湖(5010m)が決壊すれば彼女の住むディンボチェ村は14分後に洪水による土石流に襲われるとのこと。

1960年代にでき、現在は、東京ドーム32個分が
すっぽりと入るまでに拡大したイムジャ氷河湖



ディンボチェの女将、ダワ・ドマさんと

この度のヒマラヤトレッキングを始める前にカトマンズでICIMODのスタッフであるバシャンタ・シュレスタさん(40 歳)とアジア・太平洋水サミット以来の再会を果たしたが、昨年夏にICIMODが公表したイムジャ氷河湖が決壊した際の被害想定シナリオを説明されそれは 驚くべき結果だった。14分でディンボチェ村、21分後にはパンボチェ村、約一時間後にはルクラ村にまで大量の土石流が流れつくとのこと。

ダ ワ・ドマさんは「ネパールはずっとマオイストとの戦いを繰り返してきた。人々が争ってきたから神様が怒ってイムジャ氷河湖を壊そうとしている。この村には 20年前から住んでいるけれど、10年前から川の水が増えた。タンボチェ村のお坊さんがイムジャ氷河湖の湖畔にお守り(安全祈願)を埋めてくれた。だから まだ決壊していないのかもしれない。ディンボチェ村の多くの人はイムジャ氷河湖が危ないと話をしているけれど、私には正直よく分からない。それに危ないと 分かったとしても私たちはこの村に住むしかない。私にとって一番大切なのはトレッカー(お客さん)が泊まりにきてくれること。もし、イムジャ氷河湖が壊れ てしまえば、このディンボチェ村だけじゃなくて他の村も流されてしまう。そうしたら全てを失う。でもどうしていいか分からない」と話してくれた。

ネパール山岳会会長のアンツェリン・シェルパの長男、ダワ・スティーブン・シェルパさん(23歳)もイムジャ氷河湖の視察 に駆けつけてくれた。ダワさんは「シェルパ達は温暖化に対する正しい知識を持っていない。だから、相次ぐ自然災害は自分たちの行いが悪く神様が怒っている のだと考えている人が多い。ネパールの政府も氷河湖の融解問題には無関心。誰も視察にこない。もし、イムジャ氷河湖が決壊すればエベレスト街道沿いの大半 の村が流されてなくなるでしょう。そうなれば、困るのはシェルパ社会だけじゃない。エベレスト街道というネパール最大の観光地を失う事になる。ネパール経 済に与えるダメージは計り知れない。日本人はヒマラヤの氷河についてこれだけ心配してくれているのに、ネパール政府の動きがない」と訴えていた。ダワさん はICIMODと一緒にイムジャ氷河湖決壊時に村人にいち早く知らせる為の警報器を設置したいと考えている。そして今年の春にICIMODと連携しエベレ ストの清掃活動、イムジャ氷河湖を含め複数の氷河湖の調査を予定している頼もしい若者だ。

モニタニング装置

モニタニング装置


ダワ・スティブン・シェルパさんと


クンブの峰々に沈む夕日


エベレスト街道へと続くイムジャ川


イムジャ氷河湖からのローツェシャール

久々に訪れたイムジャ氷河湖に2時間ごとにイムジャ氷河湖を撮影し気温や湿度などを自動観測するモニタニング装置が慶応大学(福井弘道教授・地球環境学)によって設置されていた。また慶応大学以外にも名古屋大学、日本大学、北海道大学がイムジャ氷河湖の調査を行っている。

イムジャ氷河湖からチュクン村に戻ったのは午後5時半。5000mを超えた現場はいつでも厳しい。しかし、この厳しい現場 には多くのメッセージが込められている。アイランドピーク挑戦後は、ルクラ村まで下りチャータヘリで決壊の恐れがある世界最大級の氷河湖「ツォ・ロルパ」 (ロールワリング地方)に飛ぶ。「ツォ・ロルパ」には96年に一度訪れた事がある。あれからどのように変化したか調べてみたい。明日はアイランドピークの ハイキャンプへ。アイランドピーク登頂予定は1月10日。明日からはアイランドピーク登頂に専念したい。


アイランドピーク(6168M)



夕日に染まるクンブの峰々

 

カテゴリー別

登山 (1)

2025ロブチェピーク (27)

2025メラピーク (112)

2024年夏ヒマラヤ (37)

2023年マナスル登山 (82)

2023年1月アイランドピーク (46)

2023、ヒマラヤ親子登山 (1)

2022年4月ヒマラヤ遠征 (24)

クライミングジム (2)

2019年マナスル (55)

2019年キリマンジャロ登山 (11)

2019年キナバル登山 (5)

2019年春ヒマラヤ親子登山 (22)

2018年12月 カラパタール野口健親子登山 (13)

2018年ヒマラヤ遠征 (25)

2015年冬 ヒマラヤ (10)

2015年夏 ネパール (13)

2015年春ヒマラヤ (42)

2014年夏アラスカ (8)

2014冬ヒマラヤ (13)

2013年冬ヒマラヤ (12)

2013年夏アフリカ遠征 (13)

2013年ヒマラヤ遠征 (38)

2012年冬ヒマラヤ (12)

2012年アフリカ (23)

2012年アフリカ遠征 (20)

2012年マナスル・ムスタン登山 (22)

2011年冬ヒマラヤ (11)

2011年エベレスト清掃登山 (38)

2010年冬キナバル山 (10)

2010年アフリカ (47)

2010年春ヒマラヤ (39)

2009年冬ヒマラヤ (7)

2009年マナスル清掃登山 (44)

2008年冬ヒマラヤ (14)

2008年エベレスト清掃登山 (29)

2007年冬ヒマラヤ (8)

2007年エベレスト清掃登山 (69)

スイスアルプス挑戦記 (6)

2006年マナスル清掃登山 (84)

2005年春シシャパンマ (8)

2003年エベレスト清掃登山 (33)

2002年シシャパンマ (19)

2002年エベレスト清掃登山 (32)

2001年エベレスト清掃登山 (51)

2000年エベレスト清掃登山 (39)

トレーニング・体調管理 (94)

7大陸最高峰 (8)

ブログ内検索

野口健公式ウェブサイト


(有)野口健事務所 TEL: 0555-25-6215 FAX: 0555-25-6216