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2008年エベレスト清掃登山 , チベット , ヒマラヤ

パンボチェ寺院の高僧、ゲシュラの声

2008年エベレスト清掃登山 , チベット , ヒマラヤ

2008/04/14

パンボチェ寺院の高僧、ゲシュラの声

「パンボチェ寺院の高僧、ゲシュラの声」

龍さんのお墓参りを終えパンボチェ村を目指す。ルクラからスタートしたヒマラヤ・トレッキングだが悪天候の日々。トレッキング中の雨は心底めげる。ガイドのアンドルジさんは「2週間ぐらいずっと天気が悪い。去年に比べたら暖かいなぁ。雨が多いよ」とつぶやいていた。テレビのクルー(テレビ東京・カンブリア宮殿)も同行しているが、「いまだに一度もエベレストが見られていない」とぼやいていた。龍さんのお墓参りも寒かった。
パンボチェからディンボチェまでの道2

パンボチェからディンボチェまでの道
パンボチェからディンボチェまでの道


パンボチェ村に向かって歩いている道中にネパール人3名がごみを拾っている。極めて珍しい光景に質問してみたらSPCC(Sagarmatha Pollution Control Committeeエベレスト国立公園の汚染を監視している機関)のメンバーがナムチェバザール村からエベレスト・ベースキャンプまで清掃しながら登るとのこと。
SPCCスタッフのインタビュー
SPCCスタッフへインタビュー

SPCCに13年間務めるリーダのダンバードル・バニヤさん(32歳)は「年に3回、こうしてエベレスト街道を清掃しながら登っているとのことだが、ベースキャンまで荷を担ぐポーター達はルクラ村よりも低い所から季節労働者としてエベレスト街道に上がってきているので、地元意識が無いのでごみを捨てて汚れてもまったく気にしない。我々の前じゃごみは捨てないけれど、見えないところでは捨てている。また観光シーズンはトレッカーもペットボトルを捨てている。もう1つの問題はロッジ(山小屋)が急激に増えた事によってごみが増えたね。以前は地元の村人がオーナーだったけれど、最近は町の人がエベレスト街道にロッジを建てている。彼らも自分たちの村じゃないから平気でごみを捨てる。人が増えすぎたのが問題です」と話す。
SPCCメンバーと
SPCCメンバーと

パンボチェ村に到着し翌朝、旅の安全祈願のためにお寺に訪れた。パンボチェ寺院はかつてイエティー(雪男)の頭の一部があり、トレッカーにとっての観光名所にもなっていたが、そのイエティーの頭は盗まれ今はない。ただある学者がそのイエティーの髪の毛を調べてみたところ、なんのことはないカモシカの毛だったとか。しかし、村人はあれはイエティーの頭だと信じて疑っていないとのこと。

600年の歴史をもつパンボチェ寺院の高僧、ゲシュラさん(76歳)にチベット動乱についての感想をお聞きしましたが、「う~ん」と短い沈黙の後に1つのお経をあげ、「これは400年前の僧侶が書いたお経です。人の土地や物を奪ったり、自分だけ裕福になろうとすると、結果的に災いが自分に跳ね返ってくる。これがチベット仏教の考え方です」とおっしゃられた。言葉を1つ1つ選びながら慎重に、しかし私にはゲシュラさんがなにを私に訴えたかったのか、言葉は少なかったですがそれだけに充分すぎるほどに伝わってきた。
安全祈願のためゲシュラーを訪ねる 安全祈願のためゲシュラーを訪ねる

ゲシュラーに近年のヒマラヤ温暖化についてインタビュー
ゲシュラーに近年のヒマラヤ温暖化についてインタビュー


チベット動乱後、ネパールでもチベット解放を訴えた多くのチベット人、ネパール人が逮捕されてきた。それだけにゲシュラさんも言葉を選んだのでしょう。こちらエベレストのネパール領においても、中国の聖火隊がチベット側から山頂に上がるまでは、ベースキャンプでの無線機や衛星電話などの通信機材は一切使用禁止、またキャンプ2以上は登ってはならないなどと中国の圧力はネパール側にも越境している。4月19日に予定している富士山・エベレスト同時清掃活動の衛星中継も通信機の使用が禁止されれば実現できないかもしれない。ネパール山岳関係者に確認をとっても中国からの圧力でネパール政府もあたふたしており流動的で誰も把握しきれていないとのこと。その彼に「こちらは、ネパール領ではないか。ネパールの主権は一体どうなっていのか」と、そうしたら「ケン、確かにそうかもしれないけれど、中国から見たらネパールなど像がアリを踏むようなものだ。ネパールは中国にも逆らえない」と悲しげに話していた。チベット側のみならず北京五輪による影響がネパールにまで及んでいた。

4月12日 パンボチェ村にて 野口健

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