2008年エベレスト清掃登山 , 地球温暖化 , 氷河湖・水環境

2008/05/14

ロウアー・バルン氷河湖の視察

(写真はクリックしたら大きくなります)

 5月9日、ロウアー・バルン氷河湖の視察を行った。JAXAによれば、ロウアー・バルン氷河湖はマカルーの南約10㎞。標高4,570m、幅0.6km、長さ2.0km、面積1.09k㎡の氷河湖です。1992年には長さ1.2kmだったものが、2007年には2.0㎞にまで拡大し、面積も0.75k㎡から1.09k㎡に拡大をしています。面積の変化は+45%と、約二倍になっています。このままのスピードで拡大をし続ければ、何時かは決壊する可能性があります。

ローアバルン

  近隣の村にてインタビューを行った。
 Yangri Kharka(ヤングカルカ)にて村人にインタビューを行った。

 ニマ・シェルパ(46歳)さんは「20年前に比べるとロウアー・バルンは大きくなった。氷河が溶け、以前は小さな湖がいくつかあったが、今はそれらが1つに合体し、巨大な湖になった。そしてロウアー・バルン氷河の方に氷河湖が拡大している。夏になると目の前の川(バルン・ナディー)の水量が以前よりも増えた。最近、日本人がやってきてロウアー・バルンの調査を行っている。イムジャ氷河湖なども決壊の危機だと聞いている。最初は、神様が我々の行いが悪いので、氷河湖を大きくして決壊させようとしているのかと思っていたが、今は温暖化の影響だと分かった。ネパール政府ではこの氷河湖の水を抜くことは出来ない。外国(国際社会)の援助でロウアー・バルンの水を抜いてほしい。そうでなければ怖くて安心して生活をおくることが出来ない」と国際社会による救済を訴えていた。

ローアバルン

ローアバルン

 これで私の一ヵ月間に及んだ氷河湖の視察の旅は終わり、明後日からバングラデシュに、ハティア島やハシャリ村の侵食状況の視察に向かう。多くの村人の声を集めてきて感じてきたのは、いつ決壊するか分からない巨大な氷河湖を頭上に抱えながらの生活に、不安と戸惑い、そしてどこに訴えていいのか分からないといった焦りに怒りである。時に我々のカメラに向かってその蓄積した感情が爆発することもあった。「早く水を抜いてほしい!」という声を何度も耳にしてきた。

 帰国後、G8環境大臣会合記念特別シンポジウム(5月23日(金)神戸にて開催)でこの現場の声を届けるとともに、議長総括に「日本政府として氷河湖への支援・対策」を盛り込むように尽力したい。
 それにしてもイムジャ、ツォー・ロルパ、そしてロウアー・バルンと氷河湖を見てきたが、その中でもロウアー・バルンの氷河湖の幅がひときわ目立っていた。氷河湖の横斜面の上部にも氷河の塊が多く、あれが崩れて氷河湖に落ちてきたらどうなってしまうのだろうと、シーンと静まり返っているだけに逆に無気味であった。

カトマンズにて 野口健

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