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2008年エベレスト清掃登山 , 地球温暖化 , 氷河湖・水環境

変わり果てたハシャリ村 ~バングラデシュ・洪水と生きる人々~

2008年エベレスト清掃登山 , 地球温暖化 , 氷河湖・水環境

2008/05/22

変わり果てたハシャリ村 ~バングラデシュ・洪水と生きる人々~

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 ネパールでの活動を終えバングラデシュへ。北京オリンピックの影響でネパールでの活動も大きく制限され予定されていたマナスル峰山麓のサマ村(マナスル基金による学校建設のため)、またツラギ氷河湖訪問は残念ながら断念せざるを得なかった。

ハシャリ1

ハシャリ2

5月11日、カトマンズからバングラデシュの首都ダッカに飛んだ。昨年7月にバングラデシュの洪水視察(ハシャリ村)を行ったが、今回のテーマは前回訪れたハシャリ村の「その後」である。ヒマラヤの氷河が急激に溶け出し、ネパール、ブータン、インドなどのヒマラヤ山域国では洪水が増えているが、その影響がバングラデシュにも及んでいるとのこと。エベレストの氷河が溶け、その流れ出した水がネパールからインドのガンジス川を流れそしてバングラデシュへ。そして最後はベンガル湾から海に抜けていく。海面上昇の原因の1つに内陸にある氷河の融解があげられている。3月に南太平洋のツバルを訪れ、温暖化による海面上昇の深刻さを目の当たりにしてきたが、遠く離れた「ヒマラヤ」と「ツバル」が繋がっていることを感じていた。

ハシャリ3

ハシャリ4

昨年訪れたハシャリ村で驚いたのは「洪水によって毎年平均250メートル~300メートルの川岸が削られる」との村人の証言であった。確かに川岸では半分ほど川に落ちている建物、そして慌てて自宅を解体し、移築している人々の姿を至る所で目にした。しかし、毎年250メートル以上が侵食することに「そこまで極端かなぁ~ ちょっとオーバーじゃないかな」と半信半疑であった。「それならば一年後にもう一度同じ現場を訪れてみよう」となったが、一年ぶりのハシャリ村の姿に私は絶句した。何故ならば原型を留めていなかったからだ。上陸し村人に確認したら、この一年間で約1キロ侵食しハシャリ郡で5000件の家が流されてしまったとのこと。特に昨年(2007年11月15日)はバングラデシュにとって災害の被害が例年以上に深刻であった。2007年11月15日にバングラデシュを襲った超大型サイクロン「シドール」は、観測史上最大であり、数千人が命を落とし2千万人が被災した。専門家の説明では地球温暖化の影響で大気中の水蒸気が増えることによって、降水量が増える。そしてサイクロンの勢力が増すとのことだ。
ハシャリ5

変わり果てたハシャリ村を歩きながら昨年訪れたあの学校を探していた。昨年は上陸地点からおよそ80メートル内陸部分にあったから、もうすでにこの世にないことは分かっていたが、無意識に探してしまっていた。村人に尋ねてみたら「学校は300メートルほど奥地に場所を移してある」と教えられ探し出した。校舎はトタン屋根のいわゆるバラックであったが、しかしそれでも確かにそこには学校があり子どもたちがいた。1200人いた生徒も今では600人に減ってしまった。校長先生は「この学校は1901年に設立されましたが、昨年の引越しを入れると8回目です。何度も引っ越しして、お金の面でも苦しいです。この土地も借りています。ここも2~3ヵ月後には川に流されてしまうでしょう。しかし、まだ次の土地も決まっていません。私たちは政府に手紙を出しましたが、援助の連絡はこない。助けをまっています」と途方にくれていた。

ハシャリ6

hasyari 7


 そして生徒の一人は「友達の家が沢山流された。みんなどこかに行ってしまった。生きているのか死んでいるのかも分からない。連絡のとりようもない」「僕の家もこの夏には流されてしまう。でも、引っ越して一からみんな(家族)で頑張るよ!」と話していた。建物が壊れてしまうのも、もちろん大変なことであるが、それ以上に深刻なのは「土地ごと」失ってしまうことだろう。帰るところが無くなり人々は、バラバラに離散するしかない。こうして人々の繋がりが引き裂かれてしまう。その残酷な現実に彼らになんて声をかけていいのか、必死に言葉を捜すが出てこない。しかし、1つ救われたのが子どもたちの目の輝きであった。深刻な被災地であり、ましてや現在進行形であるにも関わらず我々の訪問に喜んでくれ、大声で笑ってくれた。なかには我々を笑わせようと漫才師のように、ジョークを連発してくる人もいた。逆に我々一行が彼らの笑顔に励まされた。「一からみんなで頑張るよ」との子どもの言葉に洪水と共に生きる彼らの生命力を感じていた。もし私の身に同じことが起きたら、あの美しい笑顔で人と接しまた人を励ますことができるだろうか。もう一度、彼らに会いたい。またハシャリ村に来ることになるだろうと、そんな事を想いながら首都・ダッカへと戻った。

バングラデシュ・ダッカにて 野口健






※野口は先週、無事に日本に帰国しました。
 早速、G8北海道洞爺湖サミットに先駆けて行われます、
 G8環境大臣会合(5月23日、神戸)にて、ヒマラヤにおける氷河湖融解問題に
 関して発表します。
                             野口健事務所




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