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さよならリリ

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2011/02/06

さよならリリ

1月30日、講演のために地方出張中に家から「昨日からリリが家に戻らない」との連絡が入る。我が屋には二匹の猫がいる。ナナとリリ。ナナは僕が学生の頃に近所の畑で出会ったノラ。そしてリリは5年前にふらりと入った新宿のペットショップで目が合い、一目惚れし我が家の一員となった。偶然にもリリさんはエジプト産の猫だった。グレーというかシルバーに近いような綺麗なトラガラ。大きな目がクリクリし、そしてどこかツンとお澄まししたような表情に一目ぼれしたのかな。

リリさんお気に入りのソファー

 お気に入りのソファで

リリが我が家の一員になった頃は、ナナがリリを嫌がり、リリが近づくと「ハァー」と威嚇していた。ナナからすればいきなりの姉妹誕生で戸惑っていたのかな。しかし、その不中も半年ほどで気がついたらいつも二人でベッタリ。動物病院に預けた時も病院の方から「ナナちゃんとリリちゃんはとっても仲がいいですね。いつも一緒に寝ていましたよ」と声をかけられるほどいつも仲良し。

リリさん
 
リリさん

ナナはノラ猫出身だったのでいつも外出したがり、時に帰ってこない夜があったが、リリは外出しても10分も経たないうちに帰ってくる。そしてお気に入りのソファーでゴロゴロニャンニャン。6番

いつも一緒のナナとリリ

 いつも一緒のナナとリリ

甘えん坊のリリでしたが、何故か僕にはあまりなつかず、僕と寝るのはいつもナナ。何度一緒に寝ようと誘っても一人いつものソファーで寝る。今思えば、僕とナナがあまりにもベッタリなので近づきにくかったのか、または僕自身の愛情表現がナナに偏っていたのかもしれない。

 

それがこの半年、気がついたら僕のベッドにやってくるようになった。そして僕に甘えてくるようになった。我が屋の一員になって5年目にしてようやく二人の距離間がなくなってきた。
4番

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そのようなタイミングでの失踪。家から決して遠出しないリリが「帰って来ない」の知らせに嫌な予感がした。講演先からの帰りの新幹線はとてつもなく永く感じられた。

 

帰宅してもやはりリリはいない。そして夜に。帰ってこないリリの事を心配しているのかこの頃からナナの様子がおかしい。元気がなく悲しそうな目で僕を見ている。こいつは何かを知っているのか、ナナの表情からそんな事を感じてしまった。その夜、寝ている時のこと。

 

窓の外から「ニャニャ」とリリの声が聞こえてくるような気がして寝ぼけながら窓を開けてみたがいない。気のせいかと再び寝るが、これは夢の中の出来事なのだろうが、寝ている僕のベッドにリリがポンと乗ってきた。「あ~良かった。帰って来たのだ」と両手で触ってみたら、確かにリリの感触であり、ホッと安心しまた寝た。そして早朝起きて家族に「リリが帰ってきたな」と話したらキョトンとされ、「あれっ?あれは夢だったのか」と驚いた。なにしろ手で触った時のあの感触がまだ自分の手に残っているぐらいあまりにもリアルであったからだ。

 

僕はその瞬間に最悪の事態を覚悟していた。警察署、保健所などに電話連絡しても情報はなかったが、午後になり警察署の方から「3日前に車にひかれて死亡している猫が清掃センターに運ばれている」との情報が入る。覚悟はしていたものの、その猫がリリではない事を祈りながら清掃センターに向かった。薄暗い廊下を案内され少し歩いたら目の前に冷凍庫があった。何秒間かその冷蔵庫をボーと眺めていた。「この中に猫の死骸が入っているので確認してください」との声にハッとし、目の前の現実に周囲の音がスーと遠のいていくかのような不思議な感覚の中、冷凍庫から出された段ボールを開けその中の白い袋をさらに開けた。間違いなくリリであった。リリに触れてみたら昨夜、夢の中で触ったあの感触と同じ。ただとても冷たかった。

 

清掃センターの方に「どうしますか?こちらの取引のある業者のほうで処理しておきますか?」との問いに「いえ、連れて帰ります。お世話になりました」とそれだけを言うのが精一杯だった。

 

その段ボールのまま車に乗せ帰宅し、リリがいつも過ごしていたソファーに寝かせたが、リリはまるで昼寝をしているかのようにマン丸になったままの状態で凍っていて、本当にリリの死後にあの冷凍庫に入れられたのだろうかと、色々な事を考えてしまった。外傷もほとんどなく、ただ首輪がなくなっていた。後に自宅からすぐ近くの道からちぎれた首輪が発見された。

家に戻ってきたリリ

 

事故後、どのような状況であったのか知りたいという衝動に駆られたが、どのように状態で発見され、どのように運ばれたのかは清掃センターの方には「分からない」とのこと。また清掃サンターに運ばれてきた時に「袋の中を確認していなかった」とも。

 

様々な状況が頭の中を過るが、亡くなってしまった今となってはそんな事になんの意味があるのだろうかと、消し去ろうとするものの「知りたい」という気持ちは未だに心の深くに残されたまま。遺族の心境とはこういうものなのかもしれない。

まるで昼寝しているようだ
まるで昼寝をしているようだ

リリ


そして帰宅したリリと再会したナナ。凍っているリリを舐め続け決して離れようともしない。そのリリのあまりにも悲しい表情に動物同士といえども人と同じような感情があるのだと、本能的に「死」を知っているのだと。その夜からナナは食欲がなくなり、下痢に嘔吐。次の日、動物病院では「リリちゃんとは仲良かったからね。精神的なショックでネコちゃんも吐いたり下痢とかするんですよ」とのこと。やはり人間と同じ。

リリとの再会

リリとの再会

リリを舐め続けるナナ
リリを舐めるナナ

リリから離れようとしないナナ
リリから離れようとしないナナ

僕は今とても悩んでいる事がある。それはナナのこと。これからどうするのか。家の中にずっと閉じ込めておくのか、それとも今まで通り自由にさせるのか。家から出れば当然、事故に遭う、または猫エイズ等のリスクはある。しかし、だからといってノラ出身で外の世界を知っているナナにとってどちらが幸せなのだろうかと。窓から外を眺めながら必死に外に出たいとアピールしてくるものの、リリの事故から約一週間、表に出さないまま。この葛藤はしばらく続きそうです。

16番


さよならリリ

15番
さよならリリ

まあ~本当に様々な事を感じた一週間でした。正直、とても辛い出来事でしたが、それでもリリとの5年間を振り返り一緒に過ごせた事に感謝しています。こんな事になるのならばもっと美味しいものを食べさせればよかったなどとそんなバカな事も考えたりしますが・・・。本当に。

 

とっ、同時に身勝手な飼い主によって毎日毎日、全国の保健所に捨てられ殺処分されていく動物が後を絶たない現実。リリが残して行ったテーマなのかもしれない。リリの死によって改めて命の尊さ、また切なさを全身で感じていた。

 

リリさん、また夢においで。そしてナナさんを守ってな。ありがとう、そして、さよなら。

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