2012/04/04
3月21日、久々の八ヶ岳登山。年末年始に予定されていたヒマラヤ遠征を体調不良のためにキャンセルとなり、しばらくは細々と室内トレーニングしかしていなかったので、久々の現場。そして今回は友人の藤巻亮太さんが初雪山に挑戦。亮さんとは一昨年から一緒に山に登るようになり、これまでも八ヶ岳、ヒマラヤ・エベレスト街道トレッキング、そしてアフリカのルゥエンゾリ山域など様々な現場を共に歩いてきました。その亮さんが雪山にチャレンジしたいと先日、ピッケルとアイゼンを購入。
初雪山挑戦をどこにしようかと考えてみましたが、やっぱり八ヶ岳・天狗岳。天狗岳は僕にとっても始めての雪山初登頂。高校一年生の冬休みから始めた登山。初登山は12月上旬の富士山。8合目付近での雪上訓練。そしてその翌週に天狗岳に挑戦し登頂。それだけに思い出深い山。
そして当日は寒波が吹き荒れ、見事な晴天でしたが何しろ風が強く冷た
い。天狗岳手前から「ビュービュー」と顔面に容赦なく風が打ちつけてくる。あまりの冷たさに顔面に無数の針がチクチクと刺さるようで「痛い痛い」と声をあげる。ヒマラヤではよくある事ですが、久々の山。この痛みの感覚に「あ~山に帰ってきた!」と心が躍っていた。とっ、そんな時に後ろから亮さんのケラケラと笑う声が。振り返ってみると「なに、この寒さ!あり得ない~。人生でこんなに寒いのは始めて!」と嬉しそうにケラケラと笑いながら・・・。あまりの寒さに「壊れちゃったのかなぁ~」と、しかし、現場の世界は寒かろうが暑かろうが、極端になればなるほど時に無意味に楽しかったりする。
そして今回のコースは渋御殿湯~天狗岳~硫黄岳~赤岳鉱泉~美濃戸口。初雪山にして縦走。なかなかハードですが、まあ~亮さんは強いから大丈夫!とっ、決行!そして一行に黒百合ヒュッテの米川岳樹さんも加わってくださった。米川さんとは一緒に飲んだくれる事は何度もありましたが(笑)、一緒に山に登るのは始めて。
山に登ると音に敏感になる。風の音、雪のしんしんと降る音、そしてアイゼンが「ザク、ザク」と雪面を踏みしめる音等、耳によく届く。考えてみたら都会にだって自然の音はある。鳥の鳴き声だってそう。しかし、音に囲まれているのに意外と気がつかないもの。それが山の中に入れば音が実によく聞こえる。それだけでも山の中にいる意味がある。
歩行時間約10時間でゴール。雪山初登山の亮さんでしたが、「いや~雪山良かった。インパクトありました」とすっかりと山男の顔になっていた。あっ、そういえば黒百合ヒュッテの手前ですれ違った登山客が亮さんを見つけて声をかけてくるなり「あっ、あなたは、若手登山家の方ですよね。ヒマラヤとか。見ていますよ!」と、嬉しそうに話しかけてくるので逆に我々が大爆笑。亮さんはもう登山家になりました(笑)。
そして下山後は恒例の渋御殿湯さんでの宴会。ご主人の北澤惣一さんを囲んで、女将さんが創ってくださった猪鍋をつつきながら、そして亮さんの「光をあつめて」に皆感動。山登りの後は、一緒に登った仲間たちとお風呂や宴の時間が最高の贅沢。
あっ、プチ情報ですが、渋御殿湯さんですが、僕が20年間通い続けている温泉宿。八ヶ岳、天狗岳の登山口にありますが、「人気温泉地ランキング」で秘湯部門の満足度調査で「信玄の隠し湯」として知られている奥蓼科温泉が全国2位となったそうな。そりゃそうだだろう。僕が高校時代から通い続けている渋御殿湯さんのお湯は日本一だ。八ヶ岳(茅野市)にお出かけの皆さん、ぜひ。
下山後、亮さんと「次はどこに登ろうか」「旅はどこにする」と、旅の終わりは新たな旅の始まりでもある。次はどこになるのかなぁ~。