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登山関係

産経新聞連載が掲載されました

登山関係

2017/04/06

産経新聞連載が掲載されました

本日の産経新聞に野口健連載「直球&曲球」が掲載されました。先日の栃木県那須町での高校生遭難事故に関して書いています。ぜひ、ご覧下さい。
http://ow.ly/gSCi30aC0z1
4月6日 産経新聞
『登山への挑戦 子供たちのチャンス奪ってはならない』
 栃木県那須町のスキー場で高校生ら8人が雪崩により犠牲となった。この遭難事故、情報が入るほど疑問が浮かぶ。引率していた教員は会見で「絶対安全だと判断した」というが、山に「絶対」はない。「何をもって絶対安全なのか」と問われ、「何年か前にも同じ場所で訓練していたから」と。同じ山でもその時の状況によっては別物だ。雪崩注意報が出て「登山は中止」としながら、何ゆえにスキー場や周辺での訓練ではなく、樹林帯を抜け、山頂付近へと続く雪の斜面まで登らせてしまったのか。
 理解に苦しむのは「冬山」ではなく「春山」で起きた遭難事故なのに、県教委が今回の事故を受けて「高校生の冬山登山禁止」の検討を始めたことだ。「春よりも冬の方が危ない」と感じている人が多いかもしれないが、春になれば破壊力の強い全層雪崩が増える。判断を間違えれば夏山でも遭難をする。平成21年7月、北海道のトムラウシ山で暴風雨の中、ガイドが判断を誤り、多くの登山客が低体温症で犠牲となった。季節によって規制をするのは、あまりに安易、大切なことは状況を見極める力を養うことだ。
 特に今回は引率者らによる判断ミスの可能性が高い。まずやるべきことは何ゆえに遭難に至ったかを検証すること。次に指導者のレベルアップ。ある日、突然山岳部の顧問に任命され、慌てて登山靴を買いに行った教師の話を聞いたことがある。素人が山岳部の顧問になるようでは季節に関係なくリスクだ。プロの登山ガイドをコーチとして受け入れることも必要だろう。
 僕が高校生の頃、立川女子高山岳部がヒマラヤの未踏峰を登頂し、話題となった。現役高校生によるヒマラヤ登山にどれだけ刺激され、勇気をもらったことか。僕も登山を始めたのは高校1年生。山に登ることでいくらでも世界が広がっていくような、人生が時めき始めた瞬間だった。これからというときに多くの高校生が犠牲になったこの事故。悲しみと悔しさとやるせない気持ちに支配される。ただ同時に思う。山に挑戦したい子供たちのチャンスを奪ってはならない。
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