Facebookでのご報告が遅れましたが、ネパールから帰国しました。3年ぶりのヒマラヤ登山は色々な意味で原点に戻れたように感じます。次の挑戦に向け少しずつ積み重ねていきたいと思います。
帰国直後、栗城さんの訃報に愕然とさせられ、大きな衝撃を受けました。四月下旬、エベレストBC手前のモレーンのなか、栗城さんとすれ違い短い時間でしたが時間や空間を共有する事が出来ました。
言葉を交わすというよりも互いの息遣いによる会話が少し。互いに言葉を探しましたが見つからなかったような。
手を握り別れましたが、背中から決意と覚悟を感じながらも、ポツンととても小さく見えました。
その最後の姿が脳裏に焼きつき離れません。
誰しもが、それぞれ何かを背負って生きていますが、栗城さんのそれはとてつもなく重たかったのだろうと。
引くに引けない状態に自身を追い込んでしまったのでしょう。様々な意見があると思いますが、栗城さんの心の弱さが招いてしまった結果だとも感じています。
8度目のエベレスト挑戦。凍傷により指を9本切断するという辛い経験もされている栗城さん。エベレストの怖さを身をもって体験されていたはずです。
それらの経験から登山スタイルを変えられなかったのか。何度かそのテーマで栗城さんと意見交換しましたが、単独、無酸素、バリエーションルートでの挑戦に揺るぎない気持ちを抱いていました。何かを捨てなければ何一つ掴むことも出来ないだろうと、そんな話をした事もあります。
栗城さんの冒険であり、人がとやかく言う事ではないのかもしれませんが「山で死んではいけない」「親よりも先に死んではいけない」とあれだけ語り合っていたのに、無念の一言に尽きます。
遭難に対し「美談」や「批判」ばかりではいけないとも思います。遭難から何を学び何を教訓とするのか。冷静な分析が求められます。また応援する側の「あり方」についても。
まだ頭の中で整理がついていませんが栗城さんにかけたい言葉はいくつもあります。しかし、今は「やっと解放されたね」と。
大好きな仲間がまた1人逝ってしまい、とてつもなく寂しいですが、遺されたものは先に逝ってしまった仲間の分も生きなければならないと心して、明日からまた生きていきたいと思います。
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