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産経新聞 直球&曲球「新タリバン政権とどう対峙するか」

国際情勢

2021/08/27

産経新聞 直球&曲球「新タリバン政権とどう対峙するか」

8月27日 産経新聞 直球&曲球に掲載されました。

「新タリバン政権とどう対峙するか」
 米軍の撤退時期が公にされてから、あっという間にタリバンに制圧されたアフガニスタン情勢。タリバンとまともに戦うことなく降伏したアフガニスタン軍には驚き、それ以上に驚愕(きょうがく)したのはガニ大統領が真っ先に国民を見捨て出国したことだ。これではアフガニスタン国軍の兵士の士気が上がるわけがない。
 アメリカをアメリカを中心とした国際社会はタリバンと戦い続けてきた。そして民主国家をアフガニスタンに定着させようとあらゆる手を打ってきたのだろう。しかし、その20年もの努力が一瞬にして崩れた。米軍の撤退の時期が正しかったのか。あるいは、20年やってきてダメならば、30年やっても同じ結末だったのではないか。

 同時に思うことは国家という概念がどれほど浸透していたのか。外交官だった父の仕事の関係でイエメンで生活をしたことがある。印象的だったのは「国家」よりも「部族」であり「宗派」の方を尊ぶ人たちの姿。根本的にわれわれとは国家の概念が違うのではないかということだ。国家という概念がなければ彼らにとって欧米型の民主主義が成り立つのだろうか。

 あの「アラブの春」以降、一時は民主主義への風が吹いた中東・アフリカ諸国だが、成功した国はあるのか。アフリカ大陸全体を見回してみても、民主化したケニアは治安が悪くテロ事件が相次ぎ、むしろ、独裁体制の強いルワンダやウガンダの方がはるかに安定している。

 他国が介入することによって事態をより複雑化させたり、自分たちの正義を押しつけてきたりしたこともあったはず。武力行使ではもう通用しないということが証明された今、国際社会はこれから誕生するであろうタリバン政権とどのように対峙(たいじ)していくのか。人権問題は国際社会が一貫して訴え続けなければならない。アフガニスタンを見捨ててはいけないが、その裏で関わる国々の不純な思惑が渦巻いてはならない。一番の懸念はタリバンがアルカーイダなどのテロ組織と連携することだ。新タリバン政権との関わり方は考えれば考えるほど困難であるが、この事態を招いた国際社会にもその責任はある。
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