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2022年4月ヒマラヤ遠征

ヒマラヤ遠征日記2022年春「久々のエベレスト街道でハプニング!〜やっぱりグッドジョブ???〜」

2022年4月ヒマラヤ遠征

2022/04/19

ヒマラヤ遠征日記2022年春「久々のエベレスト街道でハプニング!〜やっぱりグッドジョブ???〜」

久々のエベレスト街道。玄関口はルクラ村。カトマンズから小型プロペラ機でルクラに向かうのですが、これがひょっとするとこの旅で最も恐怖を感じる時間かもしれません。風が強い時にはジェットコースター。
うっかりシートベルトを外していた時に床が抜けたような感覚に襲われたかと思えば天井に頭をしこたま打ちつけたことも。ルクラ空港に無事に着陸した際には乗客から自然と拍手がおきるのも頷ける。「世界一着陸の難しい」又は「世界一危険な空港」とも揶揄されていますが、まあ〜きっとそうなのでしょう。
ただ、赤城で日々、発着していたパイロットからしたら、次元が全く違うのでしょう。


ルクラ村ではデェンディと再会。僕が19才の時に初めてヒマラヤに訪れてからずっと一緒にヒマラヤに登ってきた仲間です。出会ってから約30年間、ヒマラヤ でずっと僕を支えてくれている。もう家族です。これだけ長く深い関係になると、数年ぶりの再会でも、まるでついこの間まで一緒にいたかのような感覚で「やあ!元気かい?」となる。

コロナ禍の生活で一つ感じ事は遠い存在の人の方が再会の時に「久々感」を覚えるもの。例え同じ期間離れていても通じ合っている関係性ならば、そのブランクを感じなかったりする。「繋がり」とはきっとそういうものなのかもしれませんね。
そのデェンディは僕と同じで口数も少なく阿吽の呼吸で会話をするタイプ。多くを語らずとも互いに「分かっているよ」みたいな。野暮な事は互いに聞かずとも空気感で通じ合える関係が僕にとっては最も自然体なのかな。



初日はルクラ村からジョルサレ村へ。初日にしては少々、距離が遠いのですが、ジョルサレ村に「ニルバーナ」という大好きな定宿があります。とてもこじんまりした小さなロッジですが、庭は薔薇や石楠花にリンゴの木に囲まれた素敵な空間。両サイドには畑。季節によって採りたての野菜の種類が変わりますが、それも楽しみの一つ。
ブータン出身の女将さんは、いつも物静かに微笑んでくれる。さほど会話を交わさずとも何とも癒されるのです。 



ただ、今日に限ってちょっとしたハプニングが!!!「いつも通り1番奥の部屋だよ」とデェンディに説明を受けたので自分に割り当てられた部屋だと疑う事もなく部屋のドアを開けたら...。

見知らぬ男女が事に及んでいる真っ最中!思いっきり目があってしまい...あまりの驚き気の利いたセリフも思いつかず...。互いにしばしキョトンとしたまま...。そして僕は無言のままドアを閉めてそのまま廊下に倒れそうになった。

せめて一声「グッドジョブ!」なり「サミット!」などと言えなかったものか...。何しろ、この宿に泊まっているのは、僕らとそのカップルのみ。夕食が始まればとても狭いダイニングルームで顔を合わせなければならず...。

もうこれは呑むしかないと、日本から持ち込んだウィスキーを1人ちびりちびり。ああいうシリアスな状況に遭遇しても「カラッ」と笑いに変えるようなセリフがあったはずだと考えていた。無言のままドアを閉めてしまった自分の未熟さ、浅はかさに悔やんでも悔やみきれず。



これではあの2人も部屋から出てきづらいではないかと。なんだかとても申し訳ない気持ちで一杯になりながらも「ちょっと待てよ!」と。

確かにノックをしなかった僕もいけないが、しかし、事に及ぶのならば、せめて彼らは内鍵をすべきであった。彼らが内鍵をしなかった為に僕はこうして1人、落ち込みながらウィスキーを飲んでいるのだ!と苛立ちも少々。



しかし、そのカップルが部屋から出てきたらあまりにカラッとしている。親子ほどの歳の差があるカップルだったが、男性の方は目線を合わせようとしなかったが、しかし、女性の方からしきりに何事もなかったように僕に話しかけてくる。こちらも「何も見なかった事にする為に」ひたすら彼女から振られてくる世間話に答えるしかなかった。

そうしている内に「あなたのそのボトルが気になるわ!」と。「日本のウィスキー」と答えると「ウィスキーはスコッチしか飲んだことがない」と言ってニコリ。つまりは「飲みたいわ」って事なわけで、ノーと言えない日本人としては「どうぞ、どうぞ」とウィスキーをグラスに注いだら「今まで飲んだウィスキーと違う。これがシングルモルトの香なのね!」と大喜び。気がついたら何杯もグイグイ。日本から一本しか持って来なかった事を本気で悔やんだ瞬間だった。

しかし、これも「何かの縁!」だと旅話で一緒に盛り上がっていた。これもまた旅の醍醐味なのかもしれない。



でもね、飲んですぐに「シングルモルト!」と分かったのだから、彼女はかなり飲み慣れているはず。「本当にスコッチウィスキーしか飲んだこと事がなかったのかな...」と寝袋に入ってから、どうでもいい事に気がついてしまった...。

やっぱりああいう時には「グッドジョブ」だったのかな。ワカラナイ。

2022年4月18日 ジョルサレの定宿にて 野口健

S__56999960.jpgS__56999961.jpgS__56999958.jpg山と山に挟まれた場所にある世界一危険な空港と言われている『ルクラ空港』

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30年来の付き合いになるシェルパ、デンディさん

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長いつり橋をいくつも渡ります。

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ヒマラヤで飲む厚岸ウイスキーは格別。

S__56999956.jpgのサムネイル画像

大好きなロッジ「ニルバーナ」

S__56999957.jpgS__56999969.jpgS__56999971.jpgS__56999965.jpgのサムネイル画像ヒマラヤもお花がたくさん咲いています。

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