本日の産経新聞の連載コラムです。あまり話題になっていませんが、グリーンランドで拘束されたシーシェパードの創設者。近年「環境テロ」が欧米で騒動を起こしていますが、シーシェパードはまさにその走り。社会はこのテロリストを罰しなければならない。
しかし、フランスは...マクロン氏は大丈夫なのか...
フランス社会が凄惨なテロ事件を繰り返してしまう理由が...ここにあるのだろうか。
いずれにせよ繰り返させない為にもテロには毅然と対応しなければならない。
2024.08.15 産経新聞掲載
直球&曲球
「情けない日本の弱腰外交」
日本の調査捕鯨船をターゲットに危険極まりない暴力行為を繰り返してきた反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者、ポール・ワトソン容疑者がついに、デンマーク領で身柄を拘束された。シー・シェパードは、ノルウェーやアイスランドの捕鯨船に体当たり攻撃を行い、沈没させたこともある。その存在は、もはや〝環境テロリスト集団〟と呼ぶべきだろう。
ワトソン容疑者は14年前の日本籍の船に対する悪質な妨害行為により、国際手配されていたが、再び日本の捕鯨船へのテロを企て、グリーンランド入りしたところを御用となった。当然ながら日本政府はデンマーク政府に対し、身柄の引き渡しを要求した。しかし、心底驚かされたのはそれに対するフランスのマクロン大統領の行動である。
マクロン大統領は、デンマーク政府に対し、ワトソン容疑者を日本に引き渡さないように圧力をかけているという。フランスの大統領が「捕鯨反対派」だとしても、テロの実行犯に寄り添うかのような言動はあり得ない。これまで、凄惨(せいさん)なテロ事件で多くの犠牲を払ってきたフランスの大統領が、である。
もちろん主義主張はさまざまであり、尊重されるべきであろうが、法治国家においては人々は法の範囲の中で社会活動を行っている。テロに対し、毅然(きぜん)と立ち向かわない社会は、時にテロを呼び寄せ、その社会は長きにわたり、テロの標的になるだろう。
マクロン大統領の言動には深く失望させられたが、それ以上に何とも情けないのは日本政府の姿勢である。隣国には無意味な「遺憾砲」を撃つが、今回はフランス政府に対し、抗議の姿勢すら伝わってこない。少なくとも〝見える形〟で駐日フランス大使を外務省に呼び出し、厳重注意をすべきだろう。場合によっては、パリ五輪の閉会式のボイコットくらい考えてもよかったのではないか。
何度も日本人がシー・シェパードのテロの標的になり、さらに新たに狙われていたのだ。「国民の生命・財産を守るのがあなた方の使命ではないのか」と岸田文雄首相に強く伝えたい。