産経新聞 直球&曲球 2025年2月13日掲載
「病院船」の保有を国会で議論せよ
米国のトランプ大統領は「ガザ地区の住民を移住させ、アメリカが長期的に保有する」と発言した。パレスチナ人にとってもガザは聖地。手放すとは考えにくい。さらにトランプ大統領は、イスラム原理主義組織ハマスが、イスラエル人人質の解放を停止したことに対し、過激な言葉を使って「警告」した。
イスラエル建国以来、ユダヤ人とパレスチナ人は、救いのない戦いを繰り返している。歴史的背景をさかのぼっていけば、ともに大国に翻弄され、だまされた〝被害者〟であるが今更、時計の針は戻せないのだ。無責任ではあるが、国際社会はこの紛争に直接的に関わるべきではない。新たな火種として、より複雑化させてしまうだろう。
また、石破茂首相は、ガザで負傷したパレスチナ人を日本で受け入れ、医療分野で貢献する案を検討しているとのこと。ガザの病院の大半が破壊され、医療体制は極めて深刻。日本の医療貢献には大賛成である。
一方で懸念されるのは日本国内への受け入れだ。ガザでは依然、ハマスへの支持率が圧倒的に高い。万が一でも負傷者の中にテロと関わりを持つ人物が紛れ込んでしまう可能性はない、と言い切れるのか。独立した情報機関のない日本が、どれだけ厳密に調査できるのか。イスラエルの情報機関であるモサドに協力を仰ぐのだろうか。
ならば、ガザ周辺にいわゆる野戦病院を設営し、自衛隊の医療チームを派遣するのはどうか。この経験は日本有事の際に生かされるだろうが、当然のことながらリスクは伴う。では「病院船ならどうか」と自衛隊関係者に尋ねたら「自衛隊は病院船を保有していない」とのこと。
米軍は病院船を保有しているが、自衛隊ではコストが莫大(ばくだい)という理由で長年、必要性を指摘されながらも先送りされ続けているのだ、とも。
有事の際に病院船は大きな役割を果たすだろう。日本にとっての最大の有事は「災害」である。戦争が起きればなおのこと。国民の生命を守るという観点からも病院船の保有について国会で真剣に議論していただきたい。
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