2007年エベレスト清掃登山 , ネパール , 地球温暖化 , 富士山 , 政治 , 記者会見 メディア関連

2007/04/04

チョモランマ出発へ向けて記者発表

ネパール・クンブ地方で高所順応トレーニング・融解し決壊する可能性があると指摘されているイムジャ氷河湖の視察を終え、いよいよ明日からチベット・ラサ入り。出発前日にカトマンズのマッラホテルにて記者会見。記者会見の内容は主に3つ。

  1つは4月15日にチョモランマと富士山で同時に清掃活動を行うこと。そして衛星中継で結びチョモランマと富士山で清掃を行った人たち同士で意見交換をする。昨年、マナスル・富士山清掃活動を行った際も衛星中継を行ったが、嬉しかったのが富士山側に日本在住のネパール人が複数参加してくださったこと。同時清掃を行いながら清掃活動を多方面に広げていきたい。

  2つめに次にペンバドルジシェルパの発案であるが、世界中の国旗を登山服に貼り付け、その各国の国旗を山頂に持っていくことで世界平和を訴える。世界記録保持者のペンバドルジシェルパがやってこそその活動は広く注目され(実際にネパール国内のみならずBBCやCNNなどこのプログラムを世界に報道している)どこまで実際に影響を与えるか未知数ではあるが、諦めずに平和を呼びかけ続ける事に1つの意味、価値があるのだろうと思う。

  3つ目はパサンラムシェルパのチョモランマ挑戦。ネパール人女性のチョモランマ挑戦はいまだ数人の領域を超えておらず、彼女は「ネパールは女性の権利が軽視されている。私がチョモランマに登頂することで女性にも大きなチャレンジが出来ることを証明したい」と訴えていた。

  4つ目は地球温暖化による氷河の融解である。10年前にチョモランマと現在のチョモランマに映像を比べてどれだけ変化したかを調査する。先のイムジャ氷河湖同様に世界各地で氷河の急激な後退が問題視されている。地球温暖化によって氷河が溶け出し洪水等の危険にさらされていることは今や広く知れ渡っているが、ネパールの都市部では大半の人々がその危機的状況を把握していない。特に混乱を極めているネパールの政治家の間では温暖化対策、またはツバル共和国のように温暖化の被害を世界に訴えるといった次元にまで到達していない。ネパール人の口々からは「政治家は自身の保身のみ。政治が腐っている。まったく期待していない」といった政治不信を方々で耳にする。「政治家に期待している」といった声は未だかつて一度も聞いたことがない。そしてそれ以上に王室に対する国民の反感。国王による事実上のクーデターをネパール国民は許さなかった。政治、国王不信がマオイスト(毛沢東主義)といった共産テロ組織をここまで大きな勢力に伸ばした最大の要因ではないだろうかと一般的には推測されている。

したがって今日の会見ではネパールの政治から環境問題への取り組みが始まるとは到底思えないので、ネパールのメディアが大きくその真実を国民に伝えてほしいと要望した。メディアの力は大きい。国が動かないのならばメディアの力で民意を動かすしかない。是非、地球温暖化による氷河の決壊の危機、ゴミによる大気汚染、水源地汚染の問題をネパール国民に知らせてほしいと、そして国際社会に訴えてほしいと最後に付け加え会見を終了した。

ネパールに来てみて改めて痛感させられるのが、政治の重要性。これほどまでに国民が政治不信に陥ってしまった社会の建て直しは容易ではない。その結果、多くの人々が自国を良くしようといった社会的な考え方から自分に利益があればいいといった個々の発想に転化していく。国に絶望した以上、自分達の生活を自分達で守ろうとするのは至って自然な成り行きかもしれない。もちろん全ての国民がそうであるわけではないだろうが、私が受ける印象では大半がそのように感じ取れる。環境問題や教育問題は最大の政治課題。それは日本もまったく同じこと。環境問題の相手は人間社会である以上、政治とは切り離せない。その政治が責任ある働きを行っていないのだ。そもそもネパールは永年において選挙すら行われていないのだから。マオイスト党からは国民の審判を受けずに80人以上もの国会議員が誕生。そして閣僚は5人。6月に予定されている(延期する可能性大)選挙で国民の審判が下されるが、果たしてどうなるでしょうか。チョモランマから降りてきた頃に大きな変化があるのだろうか。

政治が動かないのならば民間が動き、その影響力で政治家達に働きかけるしかない。私も民間人としていくつものアクションを起こしてきた。その度に環境大臣始め東京都知事や山梨県知事に働きかけてきました。政治家との連携プレーで実現した事例も複数あります。時に「野口健が政治利用されている!」といった指摘があります。全てではありませんが、確かにその要素は100パーセント否定できるものではないでしょう。しかし、仮に環境問題への取り組みが政治利用に繋がったとしても、形となって実現すれば必ずしも全てがマイナス要素とは限らない。そもそも100点満点などない。理想主義のみで解決できる問題ではない。環境問題は人々との生活に直結している以上、極めて現実の問題です。様々な人々が様々な角度から関わってくる以上、一筋縄にはいかない。極めて複雑。人間社会にはA面B面があり、環境問題は裏の部分であるB面が多い。人間社会の汚い部分ばかりを見せつけられると心身共に消耗するが、それでも一歩一歩実現させなければならない。実際に東京都レンジャーや山梨県富士山レンジャー、環境省のアクティブレンジャーなど誕生したじゃないですか。小池前環境大臣、石原都知事、山本前山梨県知事との連携プレーがあったからこそ実現してきました。官と民の連携がとても大切です。

私達の活動が多くのネパール人に伝わり、そして最終的にネパールの政治家達にまで環境問題の大切さ、そして深刻さが伝わることを切に願いチョモランマへ向かいたいと思います。

 

 ネパール・カトマンズにて 

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