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マタギの工藤光治さんと白神を歩く

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2008/08/24

マタギの工藤光治さんと白神を歩く

 先週、環境学校、清掃キャンペーンと富士山にこもっていたが、人人人の渦にもまれそんな時にふと白神山地が頭をよぎった。「そうだ白神山地に行こう!」と急きょ決定。僕が世界で最も好きな自然がその白神山地。2000年からほぼ毎年のように白神山地に通ってきた。そしてマタギの工藤光治さんとの出会い。僕にとって白神山地と工藤光治さんはセット。「ヒマラヤとシェルパ」と同じように「白神山地とマタギ」は一括りだ。白神山地を守ってきたのもマタギ。環境保護といった名目でマタギを白神山地から追放してはならない。今年の一月にマタギの文化を守ろうと青森県で工藤さんと座談会を行った。

マタギの工藤光治さんと
マタギの工藤光治さんと

座談会の様子はこちらからご覧ください。

白神

白神


今回は秋田県側の二つ森登山口から白神山地の核心地域を超え青森県の「暗門の滝」に抜けるコースを予定していた。しかし、8月21日、12時過ぎに二ツ森登山口で工藤さんと合流したら「野口さん、雨を持ってきましたね。昨日から豪雨さぁ。今朝なんかずっと雷だぁ~ これでは沢を超えることができねぇ」と豪雨の影響で白神山地は荒れに荒れているとのこと。いくつもの沢を超える「マタギ道」で最も気をつけなければならないのが豪雨などによる河川の増水だ。

増水し勢いが強い暗門の滝
増水し勢いが強い暗門の滝


これから暗門の滝を超える

                      これから暗門の滝を超える

昨年も増水による数件の遭難がありヘリによってレスキューされている。とりあえず様子を見て次の日に判断しようと二つ森登山口にテントを張った。夜までたらふく時間があるので小林君と二ツ森山山頂(1062㍍)を目指した。幸いに雨は上がっていた。霧の中で景色は望めなかったが、それでもブナの森を歩きながら空気の美味しさ、そしてブナの表面を流れる滴やコケ、どれもこれも素晴らしく、そして心底癒してくれる。「あ~白神に帰ってきた」と思わず声に出していた。

二ッ森山頂にて
二ツ森山頂にて

滴が流れるブナ

                           滴が流れるブナ

下山後、車で里まで下り温泉へ。ハタハタ館だったかな?サウナに入ったら老人がチラチラと覗いてくる。そして目があったら「いや~山登りの、野口さんでしょ!普段、テレビで見る人の裸を見られるんだから、うんうん」となんとも無邪気な嬉しそうな表情を見せてくれたが、私からすると、いやはや、そんなお見せするほどのものでもないし困ってしまった。ましてやサウナの中で汗だくになりながら気がつけば目線。そして目が合えばニコッとくる。そんな時の沈黙は辛いもので僕から「地元の方ですか」と質問したら「いや、名古屋の方の出身でね、ただ自衛官でこっちの駐屯地に派遣され退官してからも残っているのさ」と。僕の祖父も自衛官であったのでそこから会話が弾んだ。

そして先にサウナから上がり流し場で頭を洗っていたらいきなり背中をゴシゴシとさっきの老人が擦ってきて「野口さん、これもなんかの縁だ。冥土の土産に背中を流させてよ」とこれにはビックリし今度はお礼に僕がその方の背中を流した。交互に背中を流し合い、大好きだった祖父の事を思い出しながら、「こうゆう銭湯での裸の付き合いもいいものだなぁ~」と、またそういえば学生の頃に下宿先の近所にあった銭湯にも、これまた近所の仲の良いラーメン屋(油そば屋)の亭主とよく一緒に銭湯に通ったなぁ~とただ残念ながらあの銭湯も店を閉めてしまったと昔を懐かしがっていた。

夜は工藤さん達と避難小屋の中で宴会。焼酎が進みほどよく酔っていたら小林くんの「野口さん、誕生日おめでとうございます」の一言に「ああ~四捨五入したら俺も40だぁ~大きくなったものだなぁ~」と、もっとしっかりせねばいかんと肝に銘じていたら工藤さんが「先週、野口さんが突然やってくると連絡があり、撮影でもないし、これはよっぽど疲れているんだろうと、マタギ仲間と野口さんを癒してやろうと話していたんだ」との温かい言葉にウルルときてしまった。銭湯での背中流し合いっこや、工藤さんの温かい一言に人の情の温かさを心から感じていた。35歳、素敵な誕生日となりました。


小林君と
小林君と

白神 看板


8月22日も午前中は雨が降り止まず赤石川越えを断念し、変わりに工藤さん達が環境省から委託されている看板立てに同行した。真瀬岳(988?)の山頂に「世界遺産地域」であることを記した看板を立てた。そして下山後、車で青森県西目屋村にある工藤さん宅に向かった。

藪こぎに悪戦苦闘
藪こぎに悪戦苦闘

神々しいブナの原生林

                         神々しいブナの原生林



8月23~24日にかけて暗門の滝を超えブナの原生林の中で一晩過ごしてきた。豪雨の影響で暗門の滝までのコースが破壊され橋がいくつも流されていた。増水が危ないから核心地域には入るのをやめようとの工藤さんの判断は正しかった。まだ8月だというのに川の水はキイーンと冷え込み手足がかじかんだが、それでももう全てが気持よかった。川がブナの緑を吸収し緑色に映る姿は、ハッと息を飲むほど美しかった。

緑に映る川
緑に映る川

太陽に光るブナの葉

                          太陽に光るブナの葉

ブナの原生林はとても明るい
ブナの原生林はとても明るい

白神

sirakami

白神山地を下山し東京に戻る飛行機の中で「再び戦場に戻るのかぁ~」と気が重たかった。次の白神山地はいつになるかな。また工藤さんと白神山地を歩く日が来るまで頑張ろう!

休みが終われば翌日から埼玉で開催される軍縮会議での基調講演。何故に私が軍縮会議で講演をするのかよく分からないがテーマは環境問題でいいとのこと。軍縮会議で環境問題をテーマにするとは、世の中、変わったものです。そしてその次の日から佐渡島での環境学校がスタートする。白神山地で癒された分、しっかりと仕事に専念したい。

(クリックしたら写真が大きくなります)

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