本日8月24日付の産経新聞に野口健連載「直球&曲球」が掲載されています。ぜひご覧ください。
8月24日産経新聞掲載
「伊豆高原のメガソーラー計画、どうしても疑念を持たざるを得ない」
前回のコラムで伊豆高原のメガソーラー計画に関して、静岡県伊東市が業者へ白紙撤回を求めていると書いたが、掲載直後、業者側から計画通りに進めるという残念な回答が出された。もちろん賛否両論あるだろうが、僕はやはり懸念を持たざるを得ない。
この計画は、東京ドーム20個分にあたる敷地面積105ヘクタールの半分にあたる森林を伐採し、土を削り、メガソーラーを敷き詰めるというものだ。伊豆高原といえば、山も海もある観光スポットであり、特に景観に関する懸念が大きい。
しかし決して、景観だけの問題ではない。森林の持つ保水力が土砂崩れや洪水の防止につながっていることは周知の通り。近年、国内で起きる記録的な大雨による災害などを考えると、どのような影響があるか不安である。また、この山は、海岸まで急な斜面で、国内有数のダイビングスポットである海につながっている。大量の土砂が流れ込んでしまうだけでなく、海の生態系にどのように影響するかも分からない。
法整備の面でも注文がある。火力発電所や風力発電所の場合、環境アセスメントが適用されるため、開発における規制がかなり厳しい上、地元住民や自治体との共生が必要である。しかし、ソーラーパネルによる太陽光発電では環境アセスメントが適用されない。
このような巨大なメガソーラーパネルの設置問題が各地で起こっているため、自治体も規制を強化させるため独自の条例を設けるなど動き出しているが、すでに、計画が認められているものに関しては、これらの条例は適用されないという。
ソーラーパネルの寿命が10年ほどだといわれていることも懸念材料である。10年後、ごみと化したソーラーパネルを、責任を持って、回収し、廃棄できるのだろうか。良心的な企業であれば、対策も取り、きちんとした対処をするであろう。しかし、手っ取り早く太陽光で、利益を得たいと思っている企業などが参入した場合、最後まで、きちんと対応してくれるのかどうか。僕はどうしても疑念を持たざるを得ないのである。